コロナ禍もキャッシュレス化の理由の一つに

 一般的にキャッシュレス決済が拡がりつつある理由の1つが、前述のポイント還元だと言われている。街に出てみれば、それまでは現金決済のみだったごく小規模な商店も導入コストの安いQRコード決済を取り入れたりしているため、利用できる店が増えたことは拡大した1つの原因だろう。さらに以下のようなことが理由として言われている。

(1)コロナ禍による自宅滞在時間が増えたことでネットでの買い物が増え、その決済手段としてクレジットカードの利用が増えた
(2)スーパーやコンビニなどでの人手不足を解消するためにセルフレジが導入され、有人レジに比べて比較的空いているので、利用しやすくなっている
(3)コロナウイルス感染拡大防止のために感染リスクのある現金の取り扱いはできるだけやりたくないという人が増えた

 これらの理由や背景はいずれも間違ってはいないと思うが、これだけの理由で今後もキャッシュレス決済が増えるとはあまり思えない。

 ネットでの買い物は一般的になりつつあるし、今後も増えるだろうが、コロナ禍が落ち着けば必ずしもネットでの買い物だけが増加するわけではないだろう。(2)は一見その通りに見えるが、実際に店舗に行って見ていると、いくら空いていてもセルフレジを利用する人はあまり多くないようだ。さらに(3)について言えば、リスクがないわけではないが、他の決済手段と比較して著しく感染リスクが高いというエビデンスもあまり見当たらない。

(参考)新型コロナウイルス感染症拡大に伴う家計の決済行動の変化(財務総合政策研究所) https://www.mof.go.jp/pri/publication/research_paper_staff_report/staff05.pdf