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廉宗淳 韓国はなぜ電子政府世界一なのか

いまだに自前主義を貫く日本のICTベンダーは、
重複する事業を切り出し、統合し、グローバル社会の中で勝ち残るための戦略を今すぐ立て直さなければいけない

廉 宗淳 [イーコーポレーションドットジェーピー株式会社代表取締役社長]
【第9回】 2012年10月2日
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 このように、日本のICTベンダーはいまだに自前主義を貫き、他社を排除するような姿勢を取っていますが、果たして、今後、各社が従来のように自前でデータベースやミドルウエアを持つ必要などあるのでしょうか。独立性も拡張性もないソフトウエアは使い勝手が悪く、誰も欲しがらないのではないでしょうか。

 グローバルに見渡してみても、IBMを筆頭に、大手IT企業はハードウエアからソフトウエアへシフト、そしてシステム開発よりもサービスの提供により利益を得ようとする動きが一般的です。いわゆる何でもやりますから、一番有望な分野へと大胆にシフトしているのです。今一度、日本のICTベンダーは、限られた資源を、何にどう配分すべきかについて、深く考えるべきだと思います。「選択と集中」を通じて、グローバル社会の中で勝ち残るための戦略を今すぐ立て直さなければいけないと思うのです。

 私自身は、富士通、日立、NECのRDBMSやミドルウエア部門の採算が合わず、各部門が製品開発を諦めざるえない所まで追い込まれる前に、官主導でも民主導でもよいから、ソニー、日立、東芝が中小型ディスプレイ分野でジャパンディスプレイを設立したように、各社のデータベース事業部門を統合し、一つの会社にするとよいのではないかと考えています。

 データベースの市場は今後衰退するような分野ではありません。コンピュータシステムには、データの保存が必ず必要なので、データベース事業は永遠に存在します。もちろん技術的にはRDBMSから、技術進歩により、別の方式に変わることはあるでしょうが、そうした事態こそ、Oracleの独走状態を突き崩す機会でもあります。

 各社がそれぞれ独自に開発するのではなく、3社の有能な人材を集結させてよりよいものを作り、国内外の顧客に安価で提供するのです。3社のデータベースが一つに統合されれば、少なくともこの3社のハードウエア上では動作可能になります。単純に言えば、動作可能なハードウエアが3倍になるということです。

 国内の企業同士が、横で競争し合い、それぞれの経営状況が悪くなった時点でやむをえず、各社から当該部門を切り出して、合弁会社を設立された例を数社、見ているのですが、後手後手に回り寄せ集めで作った会社が、再生するのはそれほど容易な話ではありません。

 韓国では、中小ソフトウエア企業の育成や保護の側面から、大手ITベンダーは国家、自治体、公共投資機関などが発注するいかなる情報システム調達には一切参加できなくする「エンジニアリング振興法」が制定され、来年以降は本格的に実行されます。日本のIT企業も海外市場に目を向け、名実と共にグローバルカンパニーとして競争できる体制に移るべきだと思います。

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廉 宗淳
[イーコーポレーションドットジェーピー株式会社代表取締役社長]

1962年生まれ。大韓民国空軍除隊後、国立警察病院、ソウル市役所に 勤務。日本でのプログラマー経験を経て、韓国で株式会社ノーエル情報テック設立。2000年、日本でイーコーポレーションドットジェーピー設立。青森市の 情報政策調整監、佐賀県情報企画監、総務省の電子政府推進委員や政府情報システム改革検討会構成員を務めている。

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お隣の韓国は、国連の電子政府ランキングでここ数年、1位が指定席。かたや、日本は順位を下げ続け2012年は18位。韓国の電子政府は何がすごいのか、日本が学ぶべきポイントはどこか。90年代前半に日本でITを学び、現在は、行政、医療、教育などの分野でITコンサルティング事業を展開する廉宗淳氏が、日本の公共サービス情報化の課題を指摘する。

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