「総合ビジネス誌」で「日本一のマーケター」と称された神田昌典氏。日本のダイレクトマーケターの先がけとして、多数の成功企業や数々の起業家・ベストセラー作家を育ててきた。
このたび、神田氏が『ザ・マーケティング【基本篇】』『ザ・マーケティング【実践篇】』を同時監訳。「これからの日本やアジアのビジネスを語る“共通言語”としてなくてはならない本」と力説する神田氏。『ザ・コピーライティング』『伝説のコピーライティング実践バイブル』に続く「神田昌典監訳マーケティング書3部作の完結篇」と位置づけられた本書だが、なんと両篇で908ページ。   
なぜいま、この大著を世に問うのか。マーケティングの名門、ノースウェスタン大学など、「全米トップスクール37校の教科書」となっている本書を読む意義はどこにあるのか。その秘密を語る連載最終回。ネット時代、つながりの時代のなかで、本書がどう読まれるべきか、活用法も含めて惜しみなく語ってもらった。

【最終回】<br />コミュニティ時代における<br />『ザ・マーケティング』の読み方神田昌典(かんだ・まさのり)
上智大学外国語学部卒。外務省経済局に勤務後、ニューヨーク大学経済学修士(MA)、ペンシルバニア大学ウォートンスクール経営学修士(MBA)取得。その後、米国家電メーカー日本代表を経て、経営コンサルタントに。多数の成功企業やベストセラー作家を育成し、総合ビジネス誌では「日本一のマーケッター」に選出されている。著書に、『全脳思考』『60分間・企業ダントツ化プロジェクト』『あなたの悩みが世界を救う! 』『成功者の告白』『人生の旋律』『非常識な成功法則』、監訳書に、『ザ・コピーライティング』『伝説のコピーライティング実践バイブル』等がある。

広がる「ミートアップ」&「アンカンファレンス」

  インターネットのデジタル空間が、コミュニティ形成のフロントになるということを、前回述べました。
  これは、具体的にどういうことなのでしょうか。

  米国では、すでに「ミートアップ」「アンカンファレンス」という概念が一般化しており、まさにデジタル空間から、リアルでのコミュニティ形成が進んできています。

  ミートアップというのは、「手軽に会いましょう」というもの。たとえば、こんな呼びかけが、フェイスブックやツイッターを通じて行われます。

「マーケティングに興味のある人、集まりませんか。ただし、3か月以内にリストラされたことが参加の前提条件です」

  要は、オフ会のようなものです。

  アンカンファレンスというのは、発表者がいて、その人の話を聞くといった、通常のセッションとは異なり、その集まりに参加した者同士がテーマ、議題などを出し合って、双方向で話し合うというスタイルのセッションです。

  いずれも、フェイスブックやツイッターなどを介して、リアルにコミュニケーションを取るためのリアルコミュニティが形成されていきます。

  このように、リアルな意見交換のための場ができると、次の段階として参加者がお互いに勉強し、情報交換を行い、さらには社会問題を解決するための合意形成がなされるようになります。