各国政府は初の新型コロナウイルス予防ワクチンの承認に向けた動きを加速させている。だが、国民は安全性に関して不安を抱えており、当局の取り組みを脅かしかねない状況だ。独ハンブルク大学が11月に実施した世論調査によると、コロナワクチンの接種をためらっている、もしくは受けたくないとの回答は、欧州7カ国全体で約4割に上昇した。調査会社イプソスが行った10月の調査では、日本人の3分の1近く、フランス人の約半数がコロナワクチンを接種しないと回答した。ロンドン大学衛生熱帯医学大学院の人類学者、ハイディ・ラーソン氏は、米国やイタリアなどでは、ワクチン懐疑派が恐怖をあおっているとし、「大きな不安がくすぶっている」と指摘する。同氏はワクチンに対する世界の信頼感を調査する組織「ワクチン信頼プロジェクト」の責任者も務める。