部下のモチベーションを
高める2つのポイント

 私は年間に100回以上、10年以上にわたって、セミナーや研修で登壇してきました。その受講生から受ける質問で、毎回のように尋ねられるのが、「部下のモチベーションの上げ方」についてです。

 まず、多くの経営者、上司が誤解をしているのは、部下のモチベーションを自分が上げようとしてしまうことです。「過去と他人は変えられない」という言葉を聞いたことがあるかと思いますが、こちらが外側からアプローチを仕掛けたとしても、部下の心の中にあるモチベーションの火を灯すことは難しいのです。

 テレワーク中の部下に対して、モニターの中から「やる気を出せ!」と、いくらハッパをかけても無意味だということです。

 必要なのは、部下に心から「やりたい!」と思わせることです。これは内発的動機づけと呼ばれています。

 では、彼、彼女たちの心の中にある「やる気」の火を点火させるにはどうすればよいのでしょうか?

 1つ目は「メリットを感じさせる」ということです。

 業務に携わることで自分が理想とする状態になれる。欲しいモノ(状態)が手に入ると分かれば、行動に結びつきやすくなります。

 例えば、「このプロジェクトが成功すれば昇進の道が開ける」と分かれば、出世意欲が高い人はメリットを感じモチベーションアップにつながります。繰り返しになりますが、「この仕事にはメリットがある」と感じさせることが鍵ということです。

 また、「成長できる」と感じさせるのも効果的です。人は誰でも、「成長したい」と願っています。人間の根源的なニーズのひとつである「成長欲求」を満たすことができると分かれば、自発的に業務に取り組むようになります。成長できると感じることができる職場からは人は離れようとは思わないので、定着率のアップにもつながります。