こんまりメソッドが
アメリカで受けたワケ
でも、麻理恵さんの本が翻訳される少し前には、アップル創業者のスティーブ・ジョブズが禅の思想をリスペクトし、その研ぎ澄まされた精神性をiPhoneなどのプロダクトデザインに反映させたことが、広く知られていました。
ほかにもシリコンバレーの経営者たちの間でヨガや瞑想がはやったり、心を見つめる時間の大切さについての関心が、これまでになく高まっていたり。
「これ以上、モノを増やしても幸せにはなれない」と、誰もが言葉ではなく身体的に感じるようになっていました。
そんな時代の流れの中で、日本からやってきたこんまりメソッドは、多くのアメリカ人に「超クール!」と受け入れられたんです。
Netflixの番組を観た人が印象に残ったシーンとしてよく挙げるのは、麻理恵さんが片づけを始める前に、家に手を合わせてあいさつするシーンです。
「神々しさを感じた」とまで言わせてしまうのは、彼女が本来大事にしてきた価値観と、時代が求めるものが完全に一致しているからでしょう。
時代にあなたを合わせるのではなく、あなたの価値を大切に扱っている中で時代が合ってきた。
大事なのは、この順番です。
僕たちがラッキーなのは、有史以来、今の時代が最も「個が活きる時代」だということです。インターネットの浸透によって、ほんの20年前の世界からは信じられないほど、個人の力が見いだされ、輝く時代になりました。
目の前の人に理解されなくても、世界のどこかにいる誰かが「いいね!」と言ってくれることでパワーを受け取れる時代。
「これからは個としてどんな価値をつくれるかが問われる時代です」と言うと、ちょっと身震いするかもしれないけれど、自分一人だけで勝負する必要もありません。
強みを補い合える人とつながって、強みの違いを活かしながら、世の中に貢献する方法を一緒に見つけていけばいい。
そう考えると、ちょっとラクになりますよね。
この時代を生きる幸運をたっぷりと味わいませんか、と僕は言いたいんです。