Mさんの志望校が、例年行ってきたAO入試を見直して、新たに学科試験と実技試験を伴う選抜試験を来年2月に設定したのも、こうした影響を受けたためである。

「“漢字”を頼りにできない!?」、番狂わせの試験

 12月上旬の段階で、すでに外国人留学生の入試を終了した大学も多数ある。その合否判定はすでに本人に伝えられているが、コロナ禍の入試は多くの外国人留学生をたじろがせた。

 感染予防対策として、普通ならば対面で行う面接がオンラインに切り替わったこともその一つ。中国人専門の家庭教師として、多くの学生を指導するNさんは次のように語る。

「これまで小論文は受験校の教室内で書きましたが、今年の受験は『自宅で書き、メールで送信』させる大学もありました。午前9時にタイトルが発表され、90分以内に書いて提出するわけですが、大学側も、学生がネットで調べることを見込んでか、テーマそのものが難しいという印象でした。また、ある大学では設問を口頭で行いました。しかし、問題用紙に書かれた“漢字”を今まで頼りにしてきた中国人留学生は、これで大きく足元をすくわれました」

 この冬の留学生受験では「不合格」という現実を突きつけられた中国人学生も少なくなかった。受験生の間では「大学側は外国人留学生の募集人数を削減しているのではないか」といったうわさも立った。

 中国人留学生の事情に詳しい大東文化大学の田中寛教授によれば、「募集人数については、少なくとも当校は例年通り」とした上で「大学側は、コロナ禍で外国人留学生の数が激減するのではないかと危惧する一方で、米中貿易戦争の影響で来日する留学生はむしろ増えるのではないかと期待している部分がある」という。

帰国しても厳しい競争

 一方、行き場を失った中国人留学生はどうなるのか。前出の留学生の学習指導に当たるNさんは「ビザの問題を抱える学生たちは、いったん専門学校に入り1年勉強し直すという“仮面浪人”になる可能性があります」と語っている。

 その間の生活費のやりくりはどうするのか。最近は、経済的にも余裕のある中国人留学生が多いとはいえ、依然としてアルバイトに頼らなければならない学生もいる。こうした学生にとってはコロナ禍の在留生活も一苦労だ。これまでは、訪日旅行客への接客などで彼らのアルバイトの需要も高かったが、インバウンド客が来なくなった今、簡単に仕事が探せる環境ではなくなってしまったのだ。

 懸念されるのは今後の展望だ。日本の学生もそうであるように、コロナ禍によって外国人留学生の展望も見通しが利かなくなっている。外国人留学生の採用について、一部上場の某大手企業の人事担当者が「あくまで優秀な人材がいれば」とするように、グローバル化を見据えたこれまでの積極採用にも陰りが出始めている。