不敗の戦略「孫子」#4
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2500年前に「兵法書」として書かれた『孫子』は、現代に置いては最強の「ビジネス書」になり得る。戦略と戦術、論理と感情、慎重さと機動力といった、現代の企業経営に必要とされる要素についてのヒントが満載だからだ。そこで特集『最強のビジネス書!不敗の戦略「孫子」』(全7回)の#4では、全13篇に及ぶ孫子のエッセンスを現代の経営に生かすために、「5つの鉄則」として切り出し、再構成した。古典でありながら色あせない孫子の魅力を味わってほしい。

「週刊ダイヤモンド」2016年9月10日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの

不敗の兵法書・孫子「5つの鉄則」 
【其ノ一】不敗の戦略

戦う前に守りを固めて負けない態勢をつくる

 孫子の特徴をあえて一言で言い表すとすれば、「不敗」の戦略を説いた書だということだろう。

「善(よ)く戦う者は、先(ま)ず勝つ可(べ)からざるを為(な)して、以(もっ)て敵の勝つ可きを待つ」

戦う前にまず自分が負けない態勢をつくって守りを固め、相手が崩れるのを待ち受ける

 勝てるかどうかは敵の態勢いかんに懸かっているのでコントロールできないが、負けない態勢というのは自分たちでつくれる。ライバル企業との競争が激しくなっている昨今、重要なのは圧倒的な勝利を狙って無理をするのではなく、負けない態勢をつくっておいて、ライバルの失策の機を狙うことだと読み解くことができる。

 もう一つ、不敗の戦略を端的に表しているのが次の言葉だ。

「而(もっ)て戦う可きと而て戦う可からざるとを知るは勝つ」

戦うべきか否かの判断ができる者は勝つ

 戦う前に相手と自分の戦力を比べて勝てるかどうかを検討し、勝てないと判断すれば戦わない。これすなわち「不敗」である。ビジネスには時に、戦わない勇気も必要なのだ。