『孫子』の兵法を活用している経営者の中で最も有名なのがソフトバンクグループの孫正義会長兼社長だろう。特集『最強のビジネス書!不敗の戦略「孫子」』(全7回)の#5では、孫氏が自身の後継者になる者の必要条件として体得を課したという、孫子の兵法を独自に解釈した改良版「孫の2乗の兵法」を紹介しよう。
孫正義氏の後継者になるには
「孫の2乗の兵法」の体得が必須
2010年7月末、ソフトバンクグループの孫正義社長は、自身の後継者育成を目的とする講座「ソフトバンクアカデミア」を開講、受講者を鼓舞した。
開講式に伴って行われた、孫社長本人による特別講義。ここで、彼が受講生に真っ先に伝えたのが「孫の2乗の兵法」だ。自身の後継者になる者の必要条件として、この法則の体得を課したのだ。
孫の2乗の兵法は、孫社長が20代中盤に、「孫子の兵法」と軍事戦略を経営に科学的に応用した「ランチェスター戦略」を組み合わせて完成させた独自の成功法則だ。
この孫の2乗の兵法の誕生には、20代中盤に苦しんだ慢性肝炎が関係している。入退院を繰り返した孫社長は、病院で多数のビジネス書を読破し、そこで孫子の兵法とランチェスター戦略に感銘を受けた。「孫」という名が一緒だったこともあるのだろうか、孫社長は、孫子に心酔していった。
その「孫の2乗の兵法」は25文字の文字盤で構成されている。次ページでは、その25文字とそれぞれが持つ意味を解説する。「稀代の経営者・孫正義」の頭の中をのぞいてみよう。