米マイクロソフトの創業者であるビル・ゲイツ氏とソフトバンクグループの孫正義会長兼社長――。この2人は『孫子』に大きな影響を受けていた。名経営者2人が、2500年前に書かれた兵法書を愛読するのは、孫子が最強のビジネス書であるからだ。特集『最強のビジネス書!不敗の戦略「孫子」』(全7回)の#1では、その理由に迫る。
2500年前の兵法書『孫子』
現代の最強のビジネス書である理由
『三国志』の曹操、戦国時代の武将・武田信玄、米マイクロソフトの創業者・ビル・ゲイツ氏、ソフトバンクグループの孫正義社長――。
時代も国籍も違うこれらの人物に共通していることがある。2500年前に書かれた『孫子』に影響を受けている(いた)ことだ。
曹操は自ら孫子の注釈本を書くほど孫子を使い倒し、戦いでは8割の勝率を誇った。武田信玄が孫子の一節「風林火山」を戦術に取り入れ、旗指し物にしていたことは有名である。ゲイツ氏は自著の中で何度も孫子を引用しており、孫社長に至っては、孫子をアレンジした独自の兵法を編み出すほどの傾倒ぶりだ(本特集#5『孫正義氏の後継者は体得必須の「孫の2乗の兵法」、25字の文字盤の深淵』参照)。
時を超え、国境も超えて読み継がれてきた孫子が、いま日本でブームとなっている。中国の春秋戦国時代という戦乱の世に書かれた兵法書が、なぜ現代の日本で脚光を浴びているのか。