それだけ手をかける対談ですから、相手も気持ちがいいはずです。話がはずんで、数々の名セリフを聞き出すことができました。その中の1つが、住友銀行の磯田一郎さんの言葉。

「潰れる会社には2通りしかない。1つは利口がケンカしている会社。もう1つはバカが仲良くしている会社」

 文春はどっちなのだろう。数十年後、私も経営に関わるようになってからは、いつもこの言葉を思い出しました。

東京電力の平岩外四、
西武・三越社長の坂倉芳明が残した名言

 東京電力の平岩外四さんは、とにかく博学でした。書籍の蔵書は2万冊。ギボンのローマ帝国衰亡史を何年に一度か読み、大仏次郎の本はすべてをコレクション。そのせいか、対談の最中も歴史的名言が次々でてきます。

「事、今だ成らず小心翼々、事まさにならんとす大胆不敵 事すでに成る油断大敵」

 これは勝海舟の言葉。

 王陽明の言葉も印象的でした(曾国藩も座右の銘として使用)。

「冷に耐え、苦に耐え、煩に耐え、閑に耐え、激せず、騒がず、競わず、随わず、以て大事をなすべし」

 が、そんな碩学も記者会見では、平易な言葉を使います。

「タフでなければ生きていけない。優しくなければ生きてゆく資格がない」。

 レイモンドチャンドラー。

 ハードボイルド小説も読んで、こういう場所でセリフになるところが、単なる碩学ではありません。