政府は14日、観光需要喚起策「GoToトラベル」キャンペーンを12月28日~来年1月11日までの期間、全国一斉に停止することを発表した。さまざまな議論を巻き起こしている「GoToトラベル」は、果たして厳しい実情のホテル業界を本当に救ったのか。今、改めて考えてみたい。(プリンシプル・ホテルコンサルティング所長 中山晴史)
「GoToトラベル」は
ホテル業界を救ったのか
新型コロナウイルス感染拡大が続く中、政府は感染拡大がGo To トラベルの実施によるものだとする「エビデンス」がないと抗弁している。一方で、ホテル業界から見ると、Go To トラベル事業によってホテル業界が救われたと考えるに至る「エビデンス」がないともいえる。
確かに、緊急事態宣言時と比較すれば、旅行者は増えている。ただ、それでも前年の数値に比べれば、旅行業界の実情が非常に厳しいのは明白である。観光庁の旅行・観光消費動向調査によると、2020年7~9月の日本人国内旅行消費額(速報)は2兆9241億円。20年4~6月には1兆46億円だったことを考えると2倍以上に回復しているといえるが、前年の7~9月には6兆6932億円だったことを踏まえると、まだまだ厳しい状況にあるといえる。さらに、インバウンド需要も戻ってきていない。