ところが、その方法論がホテル由来のものでなく、政府によるキャンペーン、それもただ価格が安くなるという方法論であったため、よくも悪くもマーケットが変質してしまったという点が指摘できる。

 もちろん、ホテル側にもより若い層のお客様にそのホテルのファンになっていただきたいと願う気持ちはあるのだが、GoToトラベル事業による値引きをきっかけに訪れたお客様の多くは、本来の意味でのリピーター開拓にはつながっていないケースも多いようだ。中には、「高級ラブホテル」のように捉えられていることもあり、これまで上質なお客様をつかんでいた超高級ホテルでも「客層が悪くなった」と発言する総支配人がいるくらいだ。

 もちろん、かような発言はお客様商売のホテルマンとしてはあってはならないことかもしれないが、その気持ちは同じホテル業界の人間としては痛いほどよくわかる。客層がホテルを決める。客がホテルを育てる。ただリピーターにはならない新規顧客であっても、一時的には売り上げが立つために、ホテル側としては何とも言い難い状況となっている。

 また、別の見方をするとマーケットが「偏向」してしまったともいえる。これは前述したように、高級ホテルや高級旅館などに予約が集中したという意味もあるが、エリア的な問題もある。

 Go To トラベルでは、航空券や新幹線チケット付きのパッケージ料金が特に割安に見えるため、「飛行機でしか行けない場所」や「新幹線の駅が最寄り」といったうたい文句の当てはまるエリアの宿泊施設では稼働率が概して高くなるのだ。反対に、全国的な都市を除いては、稼働率が全く上がってこないエリアも多い。こうして地域的に“効果”に偏りが出たという意味でも、Go To トラベルによってマーケットは偏向したといえる。

稼働率は19年の約半分の可能性も…
ホテル業界生き残りのヒントとは

 そのような状況下において、ホテル業界は今後どうしていくべきか。

 年末年始は一時停止となるGoToトラベルだが、先頃、Go Toトラベルが来年6月まで延長されることが発表された。また、雇用調整助成金の特例措置も2月末まで延長される。

 これらの方策はある程度の延命措置にもなるかもしれない。しかし、それでも中堅以下の施設においては、引き続きオペレーションに工夫と努力が欠かせないだろう。