教育学、心理学、脳科学等、さまざまな切り口の資料や取材をものに「いま、もっとも子どものためになる」ことをまとめ、16万部を突破した話題の書『子育てベスト100──「最先端の新常識×子どもに一番大事なこと」が1冊で全部丸わかり』
発売早々、高濱正伸氏(花まる学習会代表)が「画期的な1冊が誕生した。長年の取材で得た情報を、親としての『これは使えるな』という実感でふるいにかけ、学術研究の裏付けやデータなども確認した上でまとめあげた力作である」と評するなど話題騒然の1冊だ。
今回、『子育てベスト100』著者の加藤紀子氏が、『東大教授が教えるやばい日本史』監修者の本郷和人氏に、子育てや教育について聞いた。日本人が英語ができない理由とは?(構成:小川晶子、写真:山口真由子)
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「わかりやすいレール」がない時代の子育て

加藤紀子(以下、加藤) 私たちの親の世代の多くは、「いい学校に行って、いい会社に入ればいい人生を送ることができる」という価値観で子育てをしてきたと思うんですね。東大、京大、早稲田や慶応に行って、大企業に入るか、もしくは官僚や弁護士になるというわかりやすい「成功」のイメージがあった。

 いまもそういうルートを信奉している人は一定数いますが、「本当にそれが成功なの?」って疑問を持つ人も増えてきていると感じています。

本郷和人(以下、本郷) なるほど。いまの親は子どもにどうなってもらいたいと考えているのでしょう。

加藤 そこが難しいんです。選択肢は多様になっているのですが、実感的に知っているのは、自分が親から受けてきた子育てだけ。古いレールの考え方から抜け出せないんですね。

 たとえば大学を中退し、いまはITベンチャーで活躍している人なんかがメディアに出ているのを見ると、「本当にいまの子育てでいいのかな?」って疑問が出てきます。でも、どうしたらそっち側に行けるのかはわかりません。

「とにかく元気で、食いっぱぐれなければいいよ」という親も多いと思うのですが、はたしていまの時代に、いったいどうすれば「食いっぱぐれない」のかも難しい。

 子育ての軸を明確に持っていれば、もっと単純に、やるべき子育てがわかるのかもしれません。でも、軸を定めること自体が難しい時代なんだと感じています。

 そんないろんなことを考えるための「足場」にしてもらえるといいなと思って、『子育てベスト100』を書いたんです。

東大教授が語る「日本人が英語ができないのは当たり前」な理由加藤紀子(かとう・のりこ)
1973年京都市出まれ。1996年東京大学経済学部卒業。国際電信電話(現KDDI)に入社。その後、渡米。帰国後は中学受験、海外大学進学、国際バカロレア、教育分野を中心に「NewsPicks」「プレジデントFamily」「ReseMom(リセマム)」「ダイヤモンド・オンライン」などさまざまなメディアで旺盛な取材、執筆を続けている。一男一女の母。膨大な資料と取材から「いま一番子どものためになること」をまとめた『子育てベスト100──「最先端の新常識×子どもに一番大事なこと」が1冊で全部丸わかり』が16万部を超える大きな話題となっている。

子どもに「背負わせすぎ」に気をつける

本郷 子どもを東大に入れたいなら、そのための子育て論があるし、愛情豊かな人になってほしいなら、そのための子育て論もありますよね。一方でこの本は、子育てに大事なことが全般的に網羅されていますが、いま加藤さんがおっしゃったことでよくわかりました。そういう意味で、この本は素晴らしいつくりになっていますね。

加藤 ありがとうございます。この本では、◯◯ママとか××家の子育てとか、個人が発信する体験談ではなく、研究者や専門家など、先人たちが人生を賭けて積み重ねてきた膨大な研究の成果から、いまベストだと言われていることを端的に紹介しています。

 これを全部実践するのではなく、そのときどきで、お子さんに合うもの、親御さんがこれならできそうだと思えるものをここから選んでください、というものなんです。

 親はやはり、できることを何でもしてあげたい。この武器も持たせてあげたい、あの武器も持たせてあげたい。ただ、一方では、親が不安なあまり、あれもしなさい、これもしなさいと過剰に言うようでは子どもはかわいそうです。武器を背負わせすぎてしまっても、子どもには重荷になります。

本郷 あれもこれもそれも背負わせようとしたら、大変ですよね。親自身が賢くならなくてはいけません。じつは僕自身は、武器をやたらと背負わされた子どもでしたけど(笑)。

加藤 そうだったんですね!?

本郷 今日は英語、明日はピアノ、明後日は絵画教室で、月曜から日曜まで休みがなかったですよ。

加藤 でも、本郷先生のように育ったということは、良い効果があったわけですね?

本郷 いいえ、僕がしっかりしていただけでしょう(笑)。やはり大事なのは、どういうふうに育ってもらいたいと思っているのかだと思います。

 親がこの本を読みながら、「自分は子どもにどうなってもらいたいと考えているのだろう?」「幸せになってほしいと思っているけれど、幸せとはどういうことなのだろう?」と考えて、子育ての軸を見つけてくれるといいですね。

東大教授が語る「日本人が英語ができないのは当たり前」な理由本郷和人(ほんごう・かずと)
東京都出身。東京大学・同大学院で石井進氏・五味文彦氏に師事し日本中世史を学ぶ。大河ドラマ『平清盛』など、ドラマ、アニメ、漫画の時代考証にも携わっている。おもな著書に『新・中世王権論』『日本史のツボ』(ともに文藝春秋)、『戦いの日本史』(KADOKAWA)、『戦国武将の明暗』(新潮社)など。監修を務めた『東大教授がおしえる やばい日本史』は子どもから大人まで大きな人気となり、37万部突破のベストセラーとなっている。