Gotoトラベル
善意から始まったGo Toトラベルは、どこで間違えてしまったのか Photo:Diamond

「Go To」だけではない
善意が事態を悪化させる政策

 ヨーロッパの有名なことわざに、「地獄への道は善意で舗装されている」というものがある。

 これにはいろいろな解釈があるが、世の中を良くしようとか、弱者を助けようとか、善意から行われたことがかえって事態を悪化させてしまい、結果として「地獄」のように悲惨な結果を招いてしまうという、皮肉な状況を指すこともある。ニュアンスとしては、日本の「ありがた迷惑」「無用の親切」という言葉が近いかもしれない。

 では、具体的にどんな状況かというと、全国一斉停止が決まった「Go Toトラベル」がわかりやすい。

 コロナで大打撃を被った観光業を救うとともに、冷え切った地方経済を循環させるという名目で、感染が拡大する中でもギリギリまで継続したことによって、「旅行=コロナを撒き散らす」というネガティブイメージを国民の間に定着させてしまった。良かれと思ってやった「善意の政策」が、皮肉にも地方経済と観光業を「地獄」へつき落としてしまった格好なのだ。

 実は、日本ではこういう「地獄への道は善意で舗装されている」ということがちょくちょく起きる。

 GoToがここまでゴリ押しされた背景に、「観光族のドン」である二階俊博氏がいるという指摘があるように、この国の政策は基本、有力政治家にパイプを持つ産業界の陳情で決まる。一見すると世の中を良くするように見える政策も、実はその裏には特定業界を利するような意図が隠されているのだ。

 当たり前の話だが、こういう社会全体のメリットを考えていない政策はさまざまな問題を引き起こし、最悪の場合、国民生活に「害」をもたらす。

 つまり、日本の国民は「何かよくわからないけど、えらい政治家センセイたちが必要というから必要な政策なんだろ」と思っているうちに、知らない間に「地獄への道」をアクセル全開でつき進むゴーカートに乗せられている、というパターンが非常に多いのだ。