地球温暖化対策推進本部の会合
地球温暖化対策推進本部の会合で発言する菅義偉首相(左)。中央は小泉進次郎環境相=首相官邸で2020年10月30日午後5時11分、竹内幹撮影 写真:毎日新聞社/アフロ

菅義偉首相が「2050年までに温室効果ガスの排出量、実質ゼロ」の目標を掲げたが、世界的な環境に対する関心の高まりによって、環境対応はもはや企業における競争力の根幹を成すようになっている。そんな流れの中で、資金調達ですら「環境配慮」が必須の時代に入っている。(ダイヤモンド編集部 新井美江子)

旭化成のグリーンボンドに
投資マネーが殺到

「旭化成はうまかった。絶妙のタイミングでグリーンボンドを発行しましたから。グローバルで起こっている資金調達の在り方の変化をキャッチしてるんでしょうね」

 ある金融機関幹部がこう話題に挙げるグリーンボンドとは、環境改善が見込まれるグリーンなプロジェクトのために発行される債券(ボンド)のことだ。ここ数年、こうしたグリーンボンドを含む「サステナブルファイナンス(持続可能な社会を実現するための金融)」のムーブメントが日本でもようやく拡大してきている。

 特に最近、目立っているのが重化学工業メーカーの動きだ。今年6月には冒頭のように旭化成が水力発電設備の改修を目的としてグリーンボンドを発行。新型コロナウイルスの感染が拡大し、地球の持続可能性が真剣に問われるホットな時期だったこともあるのか、銀行や保険会社の他、学校法人までもが購入に殺到した。

 だが、動いていたのは旭化成だけではない。11月には、三菱重工業が風力発電や水素発電などの事業推進のためにグリーンボンドを発行した他、三菱ケミカルホールディングス(HD)が炭素循環事業等を推進するべく日本政策投資銀行(DBJ)との間でサステナビリティ・リンク・ローンの契約を締結するといった具合に、重化学工業界では立て続けにサステナブルファイナンスが組成されている。

 事業のプロセスで化石燃料を多く使う日本の重化学工業で、“環境重視”の資金調達が急速に増えたのはなぜなのか。