電力大大大再編#5
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政府が2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする方針を打ち出し、脱炭素社会の実現に向けた切り札である原子力発電に追い風が吹いている。特集『電力大大大再編』(全7回)の#5では、それでも日立製作所、三菱重工業、東芝といった原発メーカーが全く喜べない内部事情に迫った。(ダイヤモンド編集部 堀内 亮)

原子力業界の就職セミナーが活況でも
立ちはだかる厳しい現実

 ポカポカ陽気で小春日和となった10月31日、東京・新宿で開かれた日本原子力産業協会主催の合同企業説明会は、スーツ姿の学生らでごった返していた。学生らは新型コロナウイルスの感染防止のためにマスクにフェースシールドといういでたちで、各社の人事担当者の説明に耳を傾けた。

 政府が2050年までに脱炭素社会を実現し、その手段として原子力を活用する方針を示したことが奏功したのだろうか。合同企業説明会の参加人数は前年の2倍近い約250人に上り、活況を呈した。

 説明会に参加した東京工業大学原子核工学コース4年の男子学生は、新型の原子炉の開発に携わりたいといい、「原子力を使わないと脱炭素社会は実現できない。大学で学んだ技術をメーカーで生かしたい」と夢を膨らませていた。

 学生に夢を抱かせた政府の方針、実は原発メーカーにとっては全く喜べるものではなかった。