100本ノック#13
写真:毎日新聞社/アフロ

三菱重工業は10月30日、国産初のジェット旅客機「三菱スペースジェット(旧MRJ)」の開発を事実上、凍結すると発表した。確かに航空機業界はコロナ禍で事業環境がすこぶる悪いが、凍結の理由はそれだけではない。特集『超楽チン理解 決算書100本ノック』(全17回)の#13では、三菱重工が下した重大決断の背景にある深刻な“財務的ダメージ”を読み解く。(ダイヤモンド編集部 新井美江子)

3年間でたったの200億円
スペースジェット開発、凍結宣言

「M90の開発活動は、いったん立ち止まることにした」。10月30日、泉澤清次・三菱重工業社長は、国産初のジェット旅客機「三菱スペースジェット(旧MRJ)」の開発を事実上、凍結すると発表した。

 来年度以降の3年間は、機体の市場投入に必須となる「型式証明(TC。航空当局による安全性に関する“お墨付き”)」を取得するための事務作業こそ継続するものの、飛行試験などの大規模な開発活動は行わない。

 開発費は3年間の総額でたったの200億円だ。2020年度までの3年間では3700億円を投じており、まさに「完全手仕舞い」の様相を呈する。凍結宣言をした泉澤社長の口調は淡々としたものだったが、開発を担う三菱航空機には大きな落胆が広がる。

 このタイミングで凍結を決めた理由として、事業環境の悪化は大きい。新型コロナウイルスの感染拡大により、ばら色の成長市場だと誰もが疑わなかった航空機市場は一転、どん底の市場と化した。

 しかし、だ。三菱航空機幹部は「コロナのせいにするのはおかしい。凍結はむしろ財務的な問題による」と説く。どういうことか。