このときシティーハンターに楽曲を提供したのも、ソニー・ミュージック(当時のEpicソニー)であった。諏訪氏によると、ソニー側から次々とシティーハンターで使う楽曲の提案があり、それぞれのクールでさまざまなソニーのアーティストがシティーハンターのオープニングやエンディングを歌ったという。

 現在も読売テレビ/日本テレビ系列では、土曜日の夕方5時30分と6時から30分ずつアニメ番組が2階建てで放送されている。現在では5時30分からは『半妖の夜叉姫』、6時からは、先出の諏訪氏が育てた『名探偵コナン』が放送されている。この5時30分からのアニメは毎回制作会社は変わるものの、スポンサーは一貫してソニー・ミュージックであり、歴代作品に使われる楽曲はソニーが提供しているという。ソニーとアニメとの関係は、長い歴史の中で育ってきたビジネスなのである。

『鬼滅』をゲームにも展開か
過去の経験が生きる「三方よし戦略」

 また『鬼滅の刃』に話を戻そう。テレビシリーズも劇場版もアニメの編集作業は、これまたソニーグループのソニーPCLが担当している。ソニーPCLも多くのアニメ作品のビデオ編集やオンライン編集を手がける会社であり、そこにはソニーの機材が納入されている。

 また、2020年5月19日のソニーの経営方針説明会で、吉田憲一郎社長はソニーのコンテンツ事業の代表として、アニプレックスによる「今や社会現象とも呼べるヒットとなっている『鬼滅の刃』のアニメ」制作を挙げ、さらに「今後同作品のモバイルゲーム、さらにPS4向けのゲーム制作も進めていく」と述べている。

 ソニーグループには、音楽、映画と、もう1つゲームというエンタテインメント・ビジネスがあり、ひとつのIPを使って複数のメディアで追加的な収益源を確保することができるエコシステムを有している。さらに、ソニーPCLやソニーの放送局用機器など、エレクトロニクスも広い意味で関わってきている。この広範なエコシステムがソニーのコンテンツビジネスの強みであろう。

 先に紹介した日経の記事で金子教授が指摘するように、ソニーは特定のコンテンツを囲い込むリスクを取るより、1つのコンテンツをさまざまなメディアで収益化する仕組みを持ち、そのための準備を長年かけてやってきたということである。

 金子教授の記事でも指摘されている「三方よし戦略」も、ソニーのエンタテインメント・ビジネスを振り返ると過去の経験が活かされていることがわかる。