Photo:PIXTA

いろいろ工夫して仕上げ、「これなら大丈夫」と自信をもって提出した企画書が通らない、というのはよくあることだ。その一方で、提出した企画書はほとんど採用されるという人もいる。発想力の違いと言ってしまえばそれまでだが、どうもそこにはちょっとしたコツがあるようだ。(心理学博士 MP人間科学研究所代表 榎本博明)

企画がよく通る人がもつ「聴く耳」

 裏づけのためのデータを効果的に加工するなど、かなり工夫をして企画書を作成しているのに、まったく上司の目に留まらず、企画会議でプレゼンをするチャンスすら回ってこない。それなのに、あの人の企画書は、社内だけでなく、取引先に提出したものもなぜかほとんど通る。企画書を見ても、視覚効果を狙った工夫もあまりなく、どんな秘訣(ひけつ)があるのかわからない――。

 そのような声があり、企画がよく通るという人に会ってみた。すると、説得力を生む理由を知るためのヒントが見つかった。

 企画に説得力をもたせるために、適切な資料を用意したり、視覚効果を狙ってデータを加工したり、具体的な事例を用いて説明したりといった工夫の仕方がよく推奨される。それはもちろん大事なことだし、説得力をもたせるために最低限必要なことと言える。だが、ともすると見逃しがちなことがあった。

 それは、上司や取引先が求めているものをしっかりつかむということだ。自分の提案に説得力をもたせることばかりを考えるあまり、それが先方の需要を満たすものであるかどうかを考慮する気持ちの余裕を失う。それではいくら形の上で説得力をもたせたところで、先方の心に響かない。小手先の工夫に走る前に、そもそも何が求められているのかをつかんでおく必要がある。

 そこで大切なのが「聴く耳」をもつことである。