「なぜ、あの人は誰とでもうまくやれるのか?」
あなたのまわりにも、人間関係を築くのが上手な人がいるのではないでしょうか。成功と幸福に必要なのは、知性や学歴、体力ではなく、「人とどれだけうまくかかわることができるかである」と言われています。この連載では『慕われる人の習慣』の著者であり、全米セールスマン・オブ・ザ・イヤーを獲得したレス・ギブリン氏による「人に慕われる技術」のシンプルな実践方法を紹介します。(初出:2023年2月18日)
聞き上手が受ける3つの恩恵
相手の話に耳を傾けることは、2つの意味で大切である。
それは人づきあいのうえで最大の価値があるだけでなく、仕事では不可欠だからだ。
相手の話に耳を傾けるスキルは大きな武器になる。
話しているときよりも聞いているときのほうが、人間関係を円滑にすることができるからだ。
相手の話に耳を傾けることがもたらす恩恵には、次のようなものがある。
・相手の話を聞けば聞くほど好かれる。
・相手の話を聞けば聞くほど賢くなる。話すことよりも聞くことによって、多くのことを学べるからだ。あなたは自分の知識に相手の知識を加えることができる。つまり、2人の頭のほうが1人の頭よりもいいということだ。
大富豪のシド・リチャードソンは「なぜいつも黙っているのか?」と尋ねられたとき、
「自分が話しているかぎり、何も学ぶことができないからだ」と答えた。
・相手の話を聞けば聞くほど会話が上手になる。相手が話しているのを聞くとき、あなたは相手が自由に話す機会を与えている。
相手の話を聞くことは会話の重要なポイントであり、相手の自尊心を高めて感謝される。
以上のように、聞き上手であることのメリットはとても大きい。
聞き上手になるコツ
聞き上手になるための5つのコツを紹介しよう。
1 相手が話し終わるまで相手を見つづける
聞き上手であることは偶然ではない。それなりの努力が必要だ。
あなたは耳だけでなく目も使うべきだ。聞く価値のある相手は、見る価値もある。
耳と目の両方で「聞く」と、次のようなことが起こる。
・相手に敬意を払っていることが伝わる。
・相手の話を聞いていることを明確に示すことができる。
・言葉によるコミュニケーションと言葉によらないコミュニケーションの両方が同時にできるから、
相手が言っていることの全体像がつかめる。
話している相手を見ることは、「人に慕われる技術」の重要なポイントである。
2 相手のほうに身を乗り出し、じっと耳を傾ける
相手の話に興味を抱き、ひと言も聞き漏らすまいとしているという印象を与えよう。
相手のほうに身を乗り出すと、誠実さが伝わって相手の心をつかむことができる。
相手のほうに身を乗り出すことは、「人に慕われる技術」の重要なポイントである。
3 質問をする
相手に質問すべき理由は2つある。
まず、自分が熱心に聞いていることを知らせることができる。
次に、質問は相手に対する賛辞の一種である。
質問をすることは、意見を述べることより好ましい。
相手への質問はきわめてシンプルなものでいい。
・「それで、どうなったのですか?」
・「どのくらい時間がかかりましたか?」
・「どうやって結果を出したのですか?」
・「それをもう一度やってみたいですか?」
こんなふうに質問すると、相手はあなたが興味を持っていることを知って気分をよくする。
4 話を途中でさえぎらず、話題を勝手に変えない
相手の話を途中でさえぎるのは、聞くことに関する最もありがちな間違いである。
相手の話を途中でさえぎるのは必ずしも意図的ではなく、それをやっている本人が気づいていないことがある。
人は話を途中でさえぎられると気分を害し、さえぎった人に反感を抱きやすい。
話題を勝手に変えるのも、話を途中でさえぎるのと同じことだ。
相手の話を途中でさえぎったり話題を勝手に変えたりすることは、たいへん失礼な行為である。
「人に慕われる技術」を磨くうえで、相手の話を途中でさえぎったり、話題を勝手に変えたりするのは要注意である。
その解決策は、より辛抱強くなることだ。
5 会話するときは、自分ではなく相手に意識を向ける
相手のことに意識を向けると、相手をひきつけることができる。自分のことにばかり意識を向けると、相手は離れていく。
だから、話すときは自分を中心にするのではなく、相手を中心にしよう。
会話のなかで相手に意識を向け、「あなた」を主語にして話すことは、「人に慕われる技術」の基本のひとつである。