累計38万部超のベストセラー『餃子屋と高級フレンチ』シリーズでおなじみの著者・林 總氏の最新刊『たった10日で決算書がプロ並みに読めるようになる! 会計の教室』が9月29日にダイヤモンド社から発売になりました。本連載では、同書の中から抜粋して決算書を読み解くために必要な基本の知識をお伝えしていきます。登場人物は、林教授と生徒の川村カノンの2人。知識ゼロから始めて、いかにして決算書を読み解くスキルを身につけていくのか? 川村カノンになったつもりで、本連載にお付き合いください。

バランスシートからわかる<br />会社の安全性って、<br />どういうことでしょうか?Photo: Adobe Stock

バランスシートの基礎知識

林教授 前回までで貸借対照表を読み解く上での基礎知識は、ほぼすべて説明した。ポイントはこうだったね。

Point1.資金を4ヵ所から調達し、お金のダムを経て2ヵ所に分けて運用している。
Point2.貸借対照表は決算日現在のスナップショット。
Point3.この場合、流動項目と固定項目に分け、次のように整理している。
資金の運用:流動資産と固定資産
資金の調達:流動負債と固定負債と自己資本
Point4.ビジネスとは資金を使って資金を増やすこと。
Point5.その増えた価値が利益であり、利益剰余金として積み上がる。

林教授 多少は自信がついたと実感しているかね?

カノン 実感はありません。これまで教えていただいたことは、貸借対照表を読む時に役に立つのでしょうか?

林教授 その気持ちはわからないでもない。だが、君はすでに8合目まで到着している。貸借対照表を解読する基礎知識はついている。あとは、ちょっとしたテクニックを身につければいい。これからそれを教えよう。

カノン なんだか実感がありませんけど、お願いします。

林教授 貸借対照表からわかることは、第一に会社の安全性だ。

カノン 安全性って、なんでしょうか。

林教授 企業の財務上の支払能力のことだ。君がお金を貸す場合、この人なら貸しても大丈夫かな、お金を返してもらえるかなと考えるよね。これが短期的安全性だ。それから、銀行から長期で借金して設備投資したとする。財務的基盤がしっかりしていれば、ちょっとやそっとの不況でも返済能力はびくともしない。これが長期的安全性だね。