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 前回の本コラムでは、経済的理由で医療を受けられない人を救済するための無料低額診療事業について紹介した。制度を適用してもらえれば、本来なら医療機関の窓口で支払う自己負担分が無料、または通常よりも低額で医療を受けられる。

 生活するだけで精一杯で、お金がないけれど、体調が悪くて病院や診療所に行きたいといった場合に、無料低額診療事業を利用できれば、必要な医療を受けられ、命をつなぐことができる。事業を行っている医療機関は、都道府県のホームページでも公表されているので、ぜひとも覚えておきたい制度だ。

 全日本民主医療機関連合会(民医連)が、10月30日に発表した「コロナ禍を起因とした困窮事例調査 中間とりまとめ」によると、長引くコロナ禍によって、経済的理由で医療にかかれない受診控えが全国的に報告されており、無料低額診療を必要とするような困窮事例が増えているという。

 前回、冒頭で紹介したAさん(20代・男性)も、その一人だ。運送業のアルバイトで生計を立てていたものの、新型コロナウイスルの感染拡大によって仕事が激減。勤務先から自宅待機を言い渡されたが、休業手当はもらえず、実質的な失業状態となってしまった。住む家も失い、所持金もなく、公園で野宿していたが、商業施設で倒れているところを発見されて救急搬送された。

 コロナ禍によって若い世代にも受診控えが広がっている実態が顕著になった事例だが、国も何もしていないわけではない。コロナ禍によって経済的に困窮している人に対して、国民健康保険料の減免、資格証明書による受診の特例のほか、休業手当の特例給付など、さまざまな救済措置を打ち出している。

 このところ、日本列島は強い寒気団に覆われている。しかも、年末にはパートや派遣など非正規雇用で働く人々の契約更新時期も迫っている。ここで医療にかかれない状況に陥ると、一気に命の危険が迫ってくる可能性もある。そこで、今回は、コロナ禍によって生活が困窮している人が使える医療分野の制度について、改めてまとめておきたい。