無風予想を裏切った12月の会合
物価目標政策の「点検」を実施
12月17、18日の今年最後となった金融政策決定会合は、無風で終わるとの大方の予想を裏切るものとなった。
日本銀行は、コロナショック後に物価上昇率が下振れてマイナスに陥り、2%の物価目標から一段と乖離したことを受け、金融緩和を「点検」する方針を示したのだ。これは、「2%を実現するための、より効果的で持続的な金融緩和の点検」と説明されている。結果は、来年3月の金融政策決定会合を目途に発表される。
日本銀行は過去にも、政策方針を大きく転換する前には、その正当性をアピールするために検証作業を行うことがしばしばあった。2016年には「総括的検証」を実施し、9月にそれを公表すると共に、現在も続くイールドカーブコントロールの枠組みの導入を決めている。
本格的な追加金融緩和の
実施には繋がらない
こうした経緯を踏まえて、今回の「点検」は、日本銀行が新たな追加金融緩和策を実施する布石、との見方が市場に生じる可能性も考えられる。
ただし日本銀行は、「マイナス金利政策、長短金利コントロール、資産買入れ策といった現在の金融政策の枠組みを見直さない」と明言している。対外公表文では、「(現在の金融緩和の)枠組みは現在まで適切に機能しており、その変更は必要ないと考えている、この枠組みのもとで、各種の施策を点検し……」と説明された。現在の金融緩和の枠組みを見直すような追加緩和の観測が広がらないよう、市場を強くけん制しているのである。
日本銀行は、「点検」の実施を事前に予告することで、政府や市場に明らかにメッセージを送りたかったのである。ところが、それを市場が金融政策の大きな変更と過剰に受け止めることを警戒して、一方ではそのメッセージ性を自ら弱める、といった複雑な行動をとった。