平日昼間、一般道を貸し切り!?
マツダが、またやった――
箱根の山は、天下の険。
天和五年(1619年)、江戸幕府は箱根関所を設置。全国54ヵ所に及んだ関所のなかで事実上の江戸への入口となる、東海道と相模国の接点、箱根の存在感は大きかった。
現在の箱根は芦ノ湖、湯本温泉郷などの観光地であり、有料道路が多い。なかでも人気なのが、全長13.782kmの『TOYO TIRES ターンパイク』、箱根小田原本線(※)だ。海岸線の小田原から標高987mの箱根・大観山まで一気に駆け上がる、中高速コーナーが連なるワインディングコース。自動車雑誌の撮影が多いことでも知られ、自動車メーカーの試乗会コースとしても使用されてきた。だが、リーマンショック後は、メーカー側の広報宣伝活動の経費節約傾向が高まり、同線など箱根周辺での“クルマの走り味を体感する”タイプの試乗会の数は、めっきり減った。
そうしたなか、マツダ(本社:広島県安芸郡府中町)が大胆な行為に及んだ。2012年9月11日(火)~13日(木)、同線を借り切り、今年11月末発売予定の新型『アテンザ(海外名マツダ6)』の報道陣向け先行試乗会を行なったのだ。同車は世界市場でC/Dセグメントと呼ばれる中型車で、欧州系、日系、米系に強力なライバル車がいる。
過去に同線では、ドイツ系メーカーが電気自動車の報道陣向け走行用で、日中借り切ったことがある。だが、ここまで大々的な試乗会の開催はマツダが初めてだ。プログラムは1日、午前組、午後組に分かれて試乗、プレゼンテーション、質疑応答。1組あたり6時間という濃厚なプログラムだ。
なぜマツダはいま、ここまでするのか?
※1965年7月23日『箱根ターンパイク』開業、2002年に名称権を東洋ゴム工業株式会社(本社:大阪市西区)に売却。