リーマンショックの発生以降、4期連続で最終赤字に転落しているマツダ。米フォード・モーターの支配下から脱した今もなお、輸出依存体質を引きずったままだ。為替レートに翻弄され続ける体質からの転換は可能なのか。販売好調のSUV「CX‐5」の世界展開、巨額資金調達を好機にして、さらなる抜本改革に着手する時が来ている。 (「週刊ダイヤモンド」編集部 浅島亮子)
新型SUVの滑り出しは絶好調
問われる「モノ造り革新」の成果
「生産が追いつかず、お客さまにはご迷惑をおかけしております」
首都圏にあるマツダ販売店の営業マンは、深々と頭を下げる。2月に国内発売された新型SUV(スポーツ多目的車)の「CX‐5」の販売絶好調で、納車が追いつかない状況なのだ。CX‐5には、ガソリンエンジン搭載、ディーゼルエンジン搭載の2タイプがあり、とりわけ人気が集中したディーゼル搭載車の工場出荷は6月末以降まで待たねばならない。
マツダの重点地域、欧州における評判もすこぶるよい。ドイツの自動車雑誌「オートビルド」の性能評価では、同カテゴリーの「ティグアン(独フォルクスワーゲン)」と並ぶ最高評価を獲得した。「雑誌の効果はてきめんで、ドイツでは予定台数の倍の先行受注が舞い込んだ」と、CX‐5を開発した田中英明主査は自信を深める。
広島本社のお膝元にある宇品工場の生産現場には、久方ぶりに活気が戻っている。4月は、工場従業員の休日出勤を3日に増やし、フル生産体制を敷く。
山内孝・マツダ会長兼社長は、CX‐5を新生マツダの象徴と位置づける。その根拠は二つある。