「たとえば、1限がオンライン授業で、2限が対面授業の場合、2限の対面授業に間に合うように登校しないといけません。そうすると、1限が終わる時間に家を出ていては当然間に合わないので、1限が始まる前に登校し、キャンパス内でオンライン授業を受けることになるのです。朝8時くらいの電車に乗るので満員ですし、同じような学生が多いからか図書室は混み合います。密を避けるために実施されていることが、かえって密を作り出していて、意味がないんじゃないかなぁ、って思っちゃいますね」(渡辺さん)

 にっちもさっちもいかない状況で迎えた大学生活。春はオンライン授業でてんやわんやし、秋は対面授業との両立で気疲れ……。心労がたまる日々でリフレッシュをしようと、渡辺さんはGo To トラベルを利用して10月に家族で大阪へ旅行をしたと話す。しかし、この旅行も、手放しでは楽しめなかったそうだ。

「本当はSNSに旅行の様子を投稿したかったのですが、高校を卒業して働いている友達や、9月以降も完全にオンラインで授業を受けている友達がこの投稿を見たらなんて思うか、考えてしまったんです。『こんな大変なときに旅行をするなんて!』と思われたら嫌だし、旅行のことは誰にも話していません。だけど、『少しくらい自由に息抜きをさせてよ!』と思うのが本音です」(渡辺さん)

 渡辺さんの高校の同級生には、コロナ禍でろくに大学に通えないために退学した友人もいるという。

「退学した子の気持ちも少し分かります。今後の学生生活、不安だらけですからね。それから就職などもどうなるのか、不安でいっぱいです。普通に学校へ通えるということがどれだけ幸せなことだったか、大学1年生になって痛感しています」(渡辺さん)

 期待に胸を膨らませていた新大学1年生たちを待っていたのは、誰にも頼れない状況でPCと向き合い、オンライン授業と大量の課題をこなす孤独な日々だった。新入生たちが3年後の春には笑顔で大学を卒業できるよう、大学側が学生の気持ちに寄り添った対応をしてくれることを、願ってやまない。