台湾TSMCPhoto:REUTERS/AFLO

台湾TSMCはかつてのインテル?
様変わりする世界の半導体産業

 日本企業は半導体関連の部材分野で世界的なシェアを持つ。しかし今、世界の半導体産業が、急速な構造変化の局面を迎えているのである。

 構造変化の大きな特徴の一つが、半導体の「設計・開発」と「生産」を分離する傾向が鮮明化していることだ。

 例えば、米国の大手半導体企業は「設計・開発」を担い、実際の「生産」をファウンドリー(受託製造)である台湾のTSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Company)などに委託するケースが多くなっている。半導体の開発・設計と生産の分離(垂直分業)が加速しているのである。

 その結果、ファウンダリーの地位が高まり、TSMCは最先端の5ナノ(10億分の1)メートルの生産ラインを確立するなど、製造面での優位性を発揮している。かつて、米インテルが果たしていたマーケットリーダーの役割を、今やTSMCが担っているともいえるだろう。それほど、世界の半導体産業の様相は様変わりしている。

 こうした変化は、米中対立にも非常に重要な影響を与えているのである。