新規分譲戸建は売れているのに
新規供給が増えない事態に

 2020年1月に首都圏で3.4万戸あった在庫は、このようにコロナ禍を追い風に変えて、11月には2.5万戸(販売5カ月分)まで激減。首都圏では、新規分譲戸建の売れ行きに対して新規供給が毎月「1000戸少ない」水準が続き、新規着工戸数も減っている。

 このような状況があと数カ月続くと、在庫が「月の販売戸数の4カ月分」ほどに近づく。こうなると、着工と同時に売り出している現況から、竣工後の値引き物件が少なくなる。供給側からすると売り急ぐ必要はないので、値引き幅が少なくなる分、事業者の利益率が増えることとなる。

 こうした状況では、分譲価格が高くなる可能性が出てきている。マンション市場もそうだが、「価格」と「供給戸数」は反比例の関係にあり、それらを掛け算した総販売額(市場規模)は常に一定となることが通常である。

 アベノミクス以降、マンション価格は1.5倍になったものの、分譲戸建価格はほぼ横ばいだった。その価格が値上がりを始める可能性が出てきた。マンションと比較して割安感がある戸建を購入するなら、「今年は早いほうがお得」ということを念頭に置いて、購入戦略を考えたほうがいい。

土地取引の活況の一方で
「用地仕入れ」の苦戦が続く

 首都圏の面積100~200平方m(いわゆる戸建用地)の取引件数は、緊急事態宣言中の2020年4~5月は、前年同月比20%超減っていたが、同年7月にはプラスに転じ、以降は20%超の大幅増を4カ月続けている。

 こうして在庫は同年11月時点で23%と急減している。しかし販売が増えているだけではなく、新規の売り出しも減っているのだ。緊急事態宣言前の3月以降、在庫はずっと前年比マイナスを続け、そのマイナス幅を拡大しながら、同年11月は前年比30.8%と3割を超えた。短期間でこれだけ在庫が減ると、土地価格は高くなる。すでに前年比でプラスに転じているし、今後の在庫次第では「一段高」も考えられる。

 上記のデータは「レインズ」という不動産業者間の取引データを集計したものだ。通常、分譲戸建事業者はこのデータベースに掲載される土地情報には見向きもしない。掲載されているのはオープン情報であり、分譲戸建事業者は秘匿情報を内々で安く買うことがほとんどだからだ。

 ということは、上記の取引の土地は、「分譲戸建事業者」ではなく、「注文戸建を建てる個人」が購入している土地であり、その販売在庫が減っている状況にある。

 ここでの平均取引価格は2800万円で、建物価格1000万円程度。平均分譲価格4000万円の新築分譲戸建の売出価格では利益が出ない。注文戸建は新規着工戸数が増えており、その分土地購入件数は増えている。

 事業者よりも割高で売れていく土地取引市場が活況であるがゆえに、「個人の購入市場」に土地情報が出てくることが多くなっている。このようにして、分譲戸建のビルダーに流れる土地情報が減り、価格が高いために、ビルダーの土地仕入れに逆風になっているのだ。