経済的に自立して早期リタイアを果たす「FIRE」を目指し、株式投資を始める個人投資家が増えている。その多くの投資対象は日本株だが、じつは米国株こそFIREへの近道だ。米国株は日本株より手堅いのだ。某大手金融機関に勤めていた著者は、40歳で早期リタイアを考え始め、2020年に資産1億円達成を計画。すると、計画を前倒しで2019年に目標達成、51歳で早期リタイアを実現した。
初の著書『【エル式】 米国株投資で1億円』では、FIREの大きな原動力となった米国株の投資術を全公開。これまでの投資歴や投資銘柄、今さら聞けない米国株投資の基礎の基礎から、年代・目的別の具体的な投資指南、最強の投資先10銘柄に至るまで、“初心者以上マニア未満”の全個人投資家に役立つ情報を徹底指南する。(こちらは2021年2月13日付け記事を再掲載したものです)
米国株は高いブランド力を持ち、
世界でビジネスを展開している銘柄が多い
米国株に投資すべき2つ目の理由は、高いブランド力を持ち、世界中でビジネスを展開している企業が多いことです。
世界的なブランド力があれば競争力は高まり、世界中でビジネスを展開して高い収益が上げられます。
世界最大のブランディング会社であるアメリカ・インターブランド社が発表する「Best Global Brands 2020」というランキングがあります。
これは、世界的なブランドの「収益性」「価値」「カリスマ性」などを評価したものです。
そのトップ10のうち、7社は米国企業。
日本は1社だけトヨタ自動車(東証一部、7203)がようやく7位に入り、韓国のサムソンが5位、ドイツのメルセデスベンツが8位となっています。
ランキングを100位まで広げても、その半数をアメリカブランドが占めています。
それに対して日本企業で100位以内にランクインしたのは、トヨタ自動車以外にはホンダ(20位、東証一部・7267)、ソニー(51位、東証一部・6758)、日産(59位、東証一部・7201)、キヤノン(71位、東証一部・7751)、任天堂(76位、東証一部・7974)、パナソニック(85位、東証一部・6752)の6社のみ。
日本では知らない人がいないようなイオン(東証一部・8267)、ソフトバンクグループ(東証一部・9984)といったブランドはランク外なのです。
米国企業でとくに大きなブランド力を発揮しているのは、IT(情報技術)セクターと生活必需品セクターです。
「セクター」とは、おもに業種・業界を指します。
世界のIT業界を牛耳るGAFAM(Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft)に代表されるアメリカのITセクターは、パソコンやインターネットを活用する際に不可欠なプラットフォームを世界的な規模で標準化しています。
グーグルを介さずにインターネット検索をするのは困難ですし、マイクロソフトの「Office」ソフトを使わずにビジネスを進めるのは難しいでしょう。
この状況が劇的に変わることはおそらくないでしょうから、アメリカのITセクターは中長期的に成長を続けると考えられます。
食品やトイレタリー(身なりを整えたり、清潔にしたりするために必要な洗面用具や化粧品など)といった生活必需品のセクターでも、米国企業は無類のブランド力を発揮しています。
前述のコカ・コーラやペプシコ(PEP)以外にも、すでに触れたP&Gの各ブランド、歯磨き粉の『コルゲート』で知られるコルゲート・パルモリーブ(CL)などがあります。
コルゲート・パルモリーブも、57年連続増配を続けている優良企業です。
生活必需品のセクターは、多少景気が悪くなったとしても、売上高や収益が大きく落ち込むリスクが低いという特徴があります。
生活必需品は総じて価格が高いわけでもありませんし、日々の暮らしに欠かせないものを節約するわけにもいきません。
景気が悪くなっても食事を制限したり、洗濯を控えたり、歯を磨かなくなったりするわけではないからです。
しかも、人にはそれぞれお気に入りのブランドがあり、ある程度ブランド力があれば、景気が悪化したからといって、そうそう乗り換えられる心配も少ないのです。