一度目の緊急事態宣言で
4月、5月の消費は4.3兆円も減少
新型コロナウイルスの新規感染者数は、20年秋以降に再び拡大し、第3波の様相を呈している。政府は、1月7日に東京、神奈川、千葉、埼玉の首都圏1都3県に緊急事態宣言を発令することを決め、13日には大阪、兵庫、京都、愛知、岐阜、福岡、栃木の7府県も宣言に追加している。緊急事態宣言の期間は2月7日までで、対象となる自治体の知事は飲食店などの営業時間の短縮や、外出自粛の要請を行うことになる。
新型コロナウイルスの感染拡大に対応するための緊急事態宣言の発令は、2020年春に続き2回目となる。20年の宣言時には、個人消費を中心に経済活動が大きく落ち込んだことが確認されている。
前回の緊急事態宣言で落ち込んだ個人消費は、宣言が発令された当初、半減するとの見方もあった。しかし実際の個人消費は、1割弱の落ち込みにとどまった。個人消費全体の動きを示すとされる消費総合指数は、宣言発令の4月に前月比で8.1%低下し、5月はさらに2.1%低下した。4月と5月の平均でみた消費総合指数は、緊急事態宣言の発令前である3月から9%ほど水準を下げたことになる(図1参照)。
GDP統計などから試算される3月の消費水準は、23.5兆円程度だったが、4月は3月と比べ1.9兆円、5月は2.4兆円少なく、4月と5月の2カ月で4.3兆円も減少したことになる(同)。一方、宣言解除後の6月は、前月比で10.4%増加しており、宣言前の3月の水準にほぼ戻っている(同)。