自粛中の歌舞伎町今回の緊急事態宣言により、日本経済が被るダメージはどれほどのものか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

緊急事態宣言が再発出されると
経済への影響はいかほどか

 首都圏で新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、政府は東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県を対象に緊急事態宣言を再び発動する運びとなった。特に今回は、感染リスクが高いとされる飲食店の営業時間短縮に取り組むとされており、1カ月程度が想定されている。

 また、12月28日から1月11日までとなっていた観光需要を喚起するための「Go Toトラベル」の停止も継続するとのことである。一方、教育現場への影響を避けるために、小中高や大学への休校要請はしない方針となっている。

 こうした新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言は、外出制限や交通規制に対して強制力がなく、海外で行われているロックダウンを実施するようなことにはならない。しかし、昨年4~5月にかけての発出により2020年4-6月期のGDPが過去最大の落ち込みを示したことからすれば、さらなる経済活動自粛の動きが強まることは確実だろう。

 前回の緊急事態宣言発動に伴う外出自粛強化により、最も影響を受けたのが個人消費であり、実際に2020年4-6月期の家計消費(除く帰属家賃)は、前期比で▲7.0兆円、前年比で▲8.3兆円落ち込んでいる。

 そこで緊急事態宣言発出の影響を試算すべく、直近2020年7-9月期の家計調査(全世帯)を基に、外出自粛強化で大きく支出が減る不要不急の費目を抽出すると、外食、設備修繕・維持、家具・家事用品、被服及び履物、交通、教養娯楽、その他の消費支出となり、支出全体の約51.7%を占めることになる。