厚生労働省は2020年5月、新型コロナウイルスを想定した「『新しい生活様式』の実践例」を発表した。これによると、感染防止の基本は「身体的距離の確保」「マスクの着用」「手洗い」の3項目。withコロナ時代の今、これらの3項目はごく当たり前に実践されている。だが、ニューノーマル時代の生活様式が、思わぬ“肌トラブル”を招いているという。(清談社 ますだポム子)
手洗いと消毒で
手荒れが急増
「長時間マスクを着用していることで顔に湿疹やニキビができた人、手洗いの頻度が増えて手指が荒れてしまった人など、コロナ禍で推奨される生活様式によって肌トラブルを起こし、来院する患者さんが増えました」
そう話すのは、池袋駅前のだ皮膚科(https://tokyoderm.com/)の院長・野田真史氏だ。コロナ禍特有の問題に加え、冬になると空気が乾燥する。乾燥も影響し、さらに肌が荒れやすい状態になるわけだ。
「水やせっけんによって手の保湿成分が取れて、手指が荒れてしまいます。実際、重度の手荒れに悩む患者さんには、美容師、医療関係者、飲食関係者が多い。これらの職業は、仕事中に手を洗う機会が非常に多いですよね。手を洗う度に保湿成分が失われ、さらに季節的にも乾燥しやすいとくれば、手指は荒れていく一方なのです」
もちろん手洗い以外に、美容師であればシャンプー剤やヘアカラー剤、医療関係者であれば薬品類、飲食関係者であれば食器用洗剤などの刺激物も、手荒れの原因となる。刺激物といえば、手洗いと同様に頻度が増えた“消毒薬”の使用も、症状を悪化させる一因だ。
「コロナ禍で急速に普及した消毒薬は刺激が強いため、使用する頻度が高ければ手荒れの悪化因子として考えられます。消毒薬の刺激によって皮膚のバリアが壊れると、手指の皮膚が炎症を起こしかねません」