しかし、それは、政府・自治体による補助金に加え、政府系金融機関、民間金融機関(信用保証協会による保証つきを含む)による「異例の資金繰り支援融資」によるものであることは明らかだ。昨年半ば時点で、官民のコロナ対策融資は40兆円以上も実施されたとされている(9月10日付日本経済新聞)。

 野村総合研究所の梅屋真一郎氏によると、宿泊業・飲食サービス業・生活関連サービス業・娯楽業の4業種の中小企業は、コロナ禍が本年春まで継続した場合、一定の仮定の下、債務の償還期間が10年を大きく超え、また、コロナ禍が本年秋まで継続した場合は、20年前後になると試算している(第298回NRIメディアフォーラム、2020年10月20日)。程度の差はあれ、他の多くの業種でも似たようなものだろう。

 ところで、銀行(信金・信組等を含む、以下同様)の実務に目を転ずると、金融庁は既に金融検査マニュアルを廃止している。そのため、貸出債権の分類や引当(貸倒引当金の計上)に一律の基準を設けて銀行が貸出債権を自己査定し、それを金融庁が検査・監督するというバブル崩壊後の仕組みは現在採用されておらず、企業の経営環境の変化など将来的なリスクを踏まえた分類や引当が推進されている。

 銀行の貸出債権の分類では、正常先・要注意先は不良債権とみなさないが、要管理先・破綻懸念先・実質破綻先になると不良債権とみなされ、それ以上の融資が困難になるのが一般的だ。

 しかし、従来の基準はもとより、新しい分類基準によるとしても、取引先企業が「実現性の高い抜本的な経営改善計画」を立てていない限り、実態的な債務超過や赤字が継続し、または債務の償還に長期間を要する企業を正常先や要注意先にとどめることは困難なはずだ。仮に要管理先以下に分類される貸付債権が増えれば、銀行は引当金の積み増しが必要になる。

 では、「実現性が高い抜本的な経営改善計画」においては、債務の償還期間をどのあたりに設定するのが妥当なのだろうか。

 これについては、従来から実務的に「再生計画の終了年度における有利子負債の対キャッシュフロー比率が概ね10倍以下」(中小企業再生支援協議会事業実施基本要領)、つまり「10年を超えないことが基本」とされている。実際のところ、10年以上もの間、借金の返済だけに追われる企業に成長戦略など持ち得ない。

官民ファンドは
過剰債務解消の役に立たない

 昨年前半、新型コロナ禍で業績が悪化した中堅・中小企業に対して、国が政府系金融機関や官民ファンドなどを通して、劣後ローンなどを含む資本性の資金を投入する方針と一部で報道された。しかし、この方法で国が企業に劣後ローンを投入したとしても、企業の有利子負債はむしろ増えるので、問題の解決にはならない。

 また、無数の企業に国が資本投入し、しかも、かなりの長期間にわたってそれらの株式や劣後債権等を保有し、管理し続けなければならないことになる。最終的な処分(EXIT)は困難を極めるため、必然的に政府系金融機関や官民ファンドが長い間存置されることにもつながる。中小企業基盤整備機構等が民間のファンドへの出資をする場合を除き、官民ファンドなどはなるべく時限的、かつ民間の補完的役割を担うのが妥当だろう。