企業,上場企業写真はイメ―ジです Photo:PIXTA

コロナ禍で大打撃を受ける企業が続出しているにもかかわらず、倒産件数はそれほど増えていない。その大きな要因の一つは新型コロナ対策のための融資拡大だが、実はもう一つの注目すべき変化がある。コミットメントライン契約の急増だ。帝国データバンクが行った最新の調査結果とともに解説する。(帝国データバンク情報部 阿部成伸)

アメリカに比べて少ない
国内大手企業の倒産

 アメリカでは新型コロナの感染拡大以降、アパレルチェーンの「J.CREW」「ブルックスブラザーズ」、百貨店の「J.C.ペニー」「ニーマン・マーカス」、高級食料品店チェーンの「ディーン&デルーカ」、フィットネスクラブの「ゴールドジム」、大手レンタカー「ハーツ」など、世界的に知られる有名企業が相次いで破産法第11章(チャプター11=日本の民事再生法に相当)を申請し、事実上の倒産に至っている。

 一方、日本国内の上場企業の倒産動向に目を向けると、件数はリーマン・ショックが起きた2008年の33件をピークに減少し続け、2014年にはゼロとなった。2016年にも再びゼロとなるなど、その後も件数は低調に推移し、2020年は現時点でレナウン(東証1部、5月民事再生法を適用申請したが年内に破産手続きへ移行)とNuts(ジャスダック、9月破産)の2件のみ。レナウンは新型コロナが倒産の一要因となったが、Nutsは新型コロナが要因ではなかった。