「東京版CDC」は庁内で連携できず
協力金も後出しで国に劣らず後手後手

 もちろん国会議員を長く務め、環境相や防衛相などの要職を歴任し、現在は都のトップに立つ辣腕の政治家である小池知事の不勉強が、今さら許されるわけがない。

 そんな小池知事は、昨年7月の都知事選で米国の疾病対策センター(CDC)をまねて「東京版CDC」の創設を公約。その後「東京iCDC」を設けるという独自策を実現したが、「従来コロナ対策に取り組んできた福祉保健局と連携できていない」(都政関係者)という。

 もっとも、入院調整の最前線に立つ都の職員は、コロナ患者の受け入れを都内の各病院に懸命に求めてきた。ところが、「民間病院は独自の経営をしており、お願いをするには限界がある」(都幹部)。通常、公務員は既存の枠組みの中でしか動けない。だからこそ政治のリーダーシップが必要になるのだが、小池知事が都内のコロナ患者の入院調整のため、自ら積極果敢に動いた形跡はない。

 舛添要一前東京都知事は、昨年12月のダイヤモンド編集部のインタビュー(https://diamond.jp/articles/-/256212)で「政府のコロナ対策がひどい状況であることは、言うまでもありません。だからこそ、首都である東京都が模範となる取り組みをすべきなのです」と語っている。東京都知事の存在感と影響力は他の自治体トップと比べても絶大で、「都庁官僚」とも呼ばれる優秀な職員を抱え、その言動は全国の自治体や政府にも影響を与え得る。

 また都内は人口も多いが、高度医療が可能な大規模病院など医療資源もまた豊富であり、前出の都幹部も「都内はまだ恵まれている方だ。神奈川、千葉、埼玉の3県はもっと深刻だろう」と話す。小池知事はなぜ、こうした医療資源を生かし、全国に先駆けた医療モデルを構築しようとしないのか。

 それどころか、政府のコロナ対策と同様に、小池知事の施策もまた「後手後手」に回っている。例えば、時短営業をする飲食店への協力金6万円を大手企業の店舗に拡大すると18日に表明したが、これも飲食大手トップがテレビ出演などで「雇用を守れない」などと苦境を訴えた後だった。なお周辺の神奈川、千葉、埼玉の3県は最初から、大手企業の店舗も支給対象にしていた。

 冒頭で取り上げた妊婦への転院支援もSNSなどで盛り上がりを受けて急きょ決まったものだ。給付金にしても同様、メディアやSNSの議論を受けて場当たり的に対応する「後手後手」の構図である。

 ちなみに小池知事は1月14日の自身のツイートで、「3つ(広尾、荏原、豊島)の都立病院のコロナ対応の実質的専用病院化で、転院が必要となる妊婦さんには、転院に伴う紹介料、出産費用の差額分、通院時のタクシー代等移動支援を東京都で負担します」と、まるで荏原、豊島の2病院でも転院が必要であるかのような書き方をしており、誤解を招きかねない。

 そもそも小池知事は、事態を正確に把握できているのだろうか。小池知事はこれで、コロナ対策に真剣に取り組んでいるといえるのだろうか。