菅義偉首相が自民党総裁選挙の際に「再編も選択肢の一つ」と表明して、その行方が脚光を浴びる地方銀行。特集『スガノミクスの鉄則』の#9では、再編に向けて鍵を握る「4大キープレーヤー」について、銀行セクターのトップアナリストが解説する。(ダイヤモンド編集部 竹田幸平)
台頭する「四つの核」を軸に
2~3年で地銀再編が加速か
「台頭する『四つの核』を軸に、今後2~3年で一気に進むと考えられる」――。JPモルガン証券の銀行セクターアナリスト、西原里江氏は、地方銀行再編のシナリオをこのように見通す。
人口減少や低金利環境の下、地銀の収益力は細り続けている。そこにコロナ禍が襲来し、金融サービスのオンライン化の動きが加速。個人向け金融や中小企業の資金の手当てがフィンテック企業などに置き換わる構造変化も生じつつあり、デジタル対応が課題の地銀への逆風はさらに強まってきた。
そうした中で新首相となったのが地銀再編に意欲を示す菅氏だ。これまで再編を阻む要因の一つに独占禁止法の存在があったが、11月27日からは10年間の時限立法で、金融機関などを独禁法の適用除外とする特例法が施行される。そして、5月制定の特例法に深く関与してきたのが、他ならぬ官房長官時代の菅氏だった。
これとは別の動きとして、政府は2019年度、経営不振の地銀に対して監視を強化する「早期警戒制度」を導入。「持続可能な収益性」「将来にわたる健全性」に着目したモニタリングをはじめ、上記の特例法と併せ、地銀再編の加速への布石を着々と打ってきた。
このように環境が整備されつつある今、次の焦点は誰が再編のキープレーヤーとなるかだ。菅氏が具体名に言及したことはないが、西原氏はそのけん引役となりそうな「四つの核」が存在すると話す。