世界で実績を残してきた投資家は、将来の動向よりも、企業の歴史を重視しているという。一般的に「株式投資は将来を予想することが大事」という思い込みが強くあるが、将来予想などしなくても投資をすることが可能だ。『機関投資家だけが知っている「予想」のいらない株式投資法』を上梓した泉田良輔氏に、個人でも簡単にできる株式投資のポイントをうかがった。

Photo: Adobe Stock

数百もの銘柄に投資しながら
何倍にも資産を増やすファンドマネージャー

「リバースエンジニアリング」という言葉をご存じでしょうか。リバースエンジニアリングとは、ハードウェア製品などを分解し、その構造やどのような部品で構成されているかを知ることをいいます。

 投資信託(ファンド)の場合であれば、保有する銘柄を分析することで、その運用内容の一端が見えてきます。一般的には、ベンチマークと呼ばれる株価指数に対して、そのファンドの産業(セクター)の比重がどのくらい異なるのか、また、ベンチマークの銘柄構成に対して、どのような銘柄を多く持っているのか(少なく持っているのか)などを見ることで、そのファンドマネージャーの考えの一端を知ることができます。

 通常、ファンドマネージャーは、投資先の銘柄数を絞り込むことで、自分の銘柄選択の自信の度合いを示します。そのため、ファンドにおける保有銘柄数が少ないほうがよいという見方があります。保有銘柄数が多いと、ファンドマネージャーが銘柄選択に自信がないと思われるからです。

 しかし、そんなことはお構いなしに、日本を含むグローバルの株式を数百銘柄、いや1000銘柄近くファンドに入れながらも高いパフォーマンスを出し続けるファンドマネージャーがいます。私がかつて勤務していたフィディティで、「小型株の神様」といわれたジョエル・ティリングハストがそうです。数百の銘柄に投資しながら、何倍にもなる株を多数見いだすファンドマネージャーです。

 数百銘柄にも投資をしていて、なぜ何倍にもなる株に出会えるのだろうかと、フィデリティにいるときから疑問に思っていました。

 ポートフォリオの保有銘柄が数百に及ぶというのは、事前にそれぞれの銘柄について調査をし、投資判断をした上で投資を実行し、そのメンテナンスをするということです。それだけでも負荷はかなり大きいでしょう。上場企業は四半期、つまり3ヵ月ごとに決算があり、ファンドに組み入れられている数百銘柄について各決算をフォローするのは、体がいくつあっても足りません。

 もっとも、1つのファンドを複数人で運用していることもあるので、必ずしも1人ですべて調査しているわけではありません。しかし、実際に運用に携わってきた経験からすれば、数百にも及ぶ投資先すべてに対して十分に目を行き届かせるのはかなり難しい仕事だといえます。