「利回り」だけで高配当株を選ぶのは危険だ。高配当株の中には業績悪化により株価が低迷し、結果として配当利回りが上昇しているケースも多いからだ。特集『高利回り商品 総点検』(全12回)の#6では、中長期で高配当を享受でき、株価の下値も堅い銘柄の選び方を、5つの視点で伝授する。(ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)
株価の出遅れ感が強い高配当株だが
「高利回り」だけで飛び付くのは危険
「高利回りが下支えして、全体相場の急落局面でも下値が堅い」――高配当株の魅力として使われるフレーズだが、実は必ずしも正しくない。
下表は2019年初時点の、全上場銘柄の予想配当利回りの上位30社。配当利回りが5%以上の企業がズラリと並ぶが、注目してほしいのは直近(20年11月15日)までの株価騰落率だ。
同期間の日経平均株価が31%も上昇しているにもかかわらず、騰落率がプラスになったのは6銘柄で、日経平均を上回って上昇したのは2銘柄のみである。業績の落ち込みや減配など株価が低迷した理由はさまざまだが、配当を受け取ったとしても、9割の企業が日経平均よりも投資成績が悪いのだ。つまり、単純に「配当利回り」だけを見て投資すると損をする確率が高い。
とはいえ、超低金利は今後も継続する可能性が高く、高い利回りは魅力的なのも事実。株主還元を重視する企業も増えている。
株式相場全体を見ると、グロース株(成長株)が株価上昇をけん引してきたが、今後は高配当株を含むバリュー株に注目が移るという指摘も多い。実際、日経平均は29年ぶりに高値を更新する中でも、業績が底堅いにもかかわらず配当利回りが4%超に放置されている銘柄がゴロゴロある。
次ページ以降、今から買っていい高配当株を選ぶ際の5つのチェック項目を紹介する。