自動車業界で加速する電気自動車(EV)シフトが、米国内で新たな業界の台頭を促し、資金を引き寄せている。巨額の資金が向かう先は、EV向けリチウムイオン電池の生産だ。
EV向けバッテリーの生産は目下、中国の独断場となっている。だが、メーカー各社が米国内でのEV生産に向けて巨額の投資を行う中、バッテリーや関連素材などのサプライチェーン(供給網)を北米で拡大しようとする企業に対し、投資家の熱い視線がそそがれている。北米ではこれまで、こうした関連部品を輸入に大きく頼ってきた。
次世代電池の素材を手がけるスタートアップ企業、米シラ・ナノテクノロジーズも、ウォール街の注目を集める企業の一つだ。同社は26日、新たに5億9000万ドル(約610億円)を調達したと発表した。
調達資金の大半は、米国内の電池素材工場の建設に充てる予定だが、建設地はまだ決まっていないという。ジーン・ベルディチェフスキー最高経営責任者(CEO)がウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)に明らかにした。
バッテリーを専門とする新興企業では米ロメオ・パワーや、米国内で事業を展開するカナダの鉱山会社リチウム・アメリカズも足元、資金調達を進めている。ロメオは昨年終盤に上場。リチウム・アメリカズは22日、ネバダ州のリチウム開発向けに4億ドル相当の増資を行うと明らかにした。