相続するということは、表に出ていなかった「連帯保証債務」も引き継ぐことを意味します。今回は、相続の時点で銀行からの融資残高は2億円ありました。各相続人は、法定相続分にのっとって以下の割合で連帯保証債務を相続することになります。

母 1億円(=2億円×1/2)
Bさん(長男) 5000万円(=2億円×1/4)
長女 5000万円(=2億円×1/4)

 目に見えない「連帯保証債務」を含めた実際の相続は上記の通りとなりました。ですが、この「連帯保証債務」は、会社の経営が傾かなければ表に出てくることはありません。つまり、会社経営が順調な限りは会社がしっかりと銀行に返済を行うため何の問題も生じません。一方で、会社経営が傾いた途端に、個人にその責任が降りかかってくることを意味します。

会社の業績が悪化
一気に破産の危機へ…

 父の死後、会社についてはBさんが代表取締役に就任し経営を担うことが取締役会で決まりました。しかし、不安を抱える従業員が大半でした。Bさんは当時30代後半で会社をまとめるにはまだ若く、加えて父のワンマン経営でこれまで急成長してきたため、社長不在の穴を埋めることは厳しい状況にあったのです。前経営者である父の力量で取引先を開拓してきたこともあり、バトンタッチされた長男では荷が重かったのは言うまでもありません。

 結果、業績は急激に悪化し、従業員も自主退職する人が後を絶たなくなり、銀行からの融資残高2億円を残して、会社経営に行き詰まってしまったのです。