世界で実績を残してきた投資家は、将来の動向よりも、企業の歴史を重視しているという。一般的に「株式投資は将来を予想することが大事」という思い込みが強くあるが、将来予想などしなくても投資をすることが可能だ。『機関投資家だけが知っている「予想」のいらない株式投資法』を上梓した泉田良輔氏に、個人でも簡単にできる株式投資のポイントをうかがった。

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2、3年の実績では
企業の真の姿はわからない

 株式投資を行う際、最初に集める情報といえば、過去の決算情報というのは、投資に慣れてきた人であれば同意いただけるのではないでしょうか。

 ただ、過去2、3年の決算書だけを見て、あらゆることがわかるようになるものではありません。直近の決算はもちろん重要ですが、可能な限り過去の決算をさかのぼっていくことで、決算書もさらに使える情報になります。

 経験上、少なくとも10年くらい振り返ると、直近の決算からは見えてこないことが見えてきます。

 私がフィデリティ投信勤務時代にお世話になり、私の投資のメンターというべきベテランのファンドマネージャーであった山下裕士氏も著書で以下のように述べられています。

「株式市場はほぼ10年サイクルで動いている。例外もあるが、より正確にいうと8~12年のサイクルである。1つのサイクルに上げ相場と下げ相場があり、それぞれに序盤・中盤・終盤という局面がある」(山下裕士『伝説のファンドマネージャーが見た日本株式投資100年史』〈クロスメディア・パブリッシング〉pp.5-6)

 株式相場と景気は必ずしも連動するわけではありませんが、このように10年程度の決算書を振り返ってみると、景気の山谷を含んでいる可能性が高く、長期的な売上高の成長率、収益の安定性といった定量的な企業の特徴が見えてきます

 たとえば、10年近くの長期的な成長率と直近の3年のそれとを比較して、現状はどうなっているのか、また利益率は向上しているのか、悪化しているのかなどの傾向を確認することができます。