フランチャイズか、直営か――。コロナ禍で苦境に陥る外食業界。それでも、勝ち組は存在し、その筆頭は「コメダ珈琲店」のコメダホールディングス。一方、ファミレス大手、サイゼリヤは11年ぶりの最終赤字に沈んだ。両社の明暗を分けたのはビジネスモデルの違いだった。居酒屋大手、ワタミでは、FCビジネスを拡大。アフターコロナを見据え、大手外食企業の一部でFC化を進める動きが活発化している。特集『超楽チン理解 決算書100本ノック』(全17回)の#12では、コロナ禍で明暗が分かれたフランチャイズと直営の外食企業の較を行った。(ダイヤモンド編集部 山本興陽)
相次いで大量閉店を発表する大手外食
コロナ禍の勝ち組、コメダ珈琲店
今、「FCビジネス」にかじを切る大手外食企業が相次いでいる。
背景にはコロナ禍での苦境がある。11月は外食各社の決算発表ラッシュだったが、そこでは相次いで大量閉店が発表されたのだ。
例えば、「ロイヤルホスト」「てんや」などを展開するロイヤルホールディングス(HD)では、2021年末までに当初約70店の閉鎖予定だったが、20店程度追加され約90店舗となった。ファミリーレストラン「ガスト」などのすかいらーくHDも21年末までに約200店の閉店をする計画だ。
さらには、債務超過に転落する外食企業も出てきた。居酒屋「塚田農場」などを運営するエー・ピーHDは、21年3月期中間決算で、9億円の債務超過に陥った。売り上げが回復したとしても、傷んだ財務状況が元通りになるまで、長期戦となりそうだ。
そんな苦境の業界でも、“勝ち組”企業は存在する。その筆頭が「珈琲所 コメダ珈琲店」を展開するコメダHDだ。21年2月期の中間決算(IFRS〈国際財務報告基準〉)では、売上高は前年同期比12%減の135億円で、24億円の営業黒字を確保。日本の営業利益の基準にそろえると26億円、営業利益率は19%となる。営業赤字に転落する外食チェーンが続出する中、“異端”な存在といえる。
高収益の理由は、FC(フランチャイズチェーン)主体のビジネスモデルだ。国内の全885店舗のうち、直営店舗はわずか38店でFC店比率は96%(8月末時点)にも及ぶ。
FCモデルと言えば、セブン-イレブンやファミリーマートなどのコンビニエンスストアがよく知られている。コンビニ業界では各店舗の売上総利益(粗利)に応じて、ロイヤルティーとして各店舗から本部が徴収する仕組みとなっている。