コロナの「孤独」も餌食に?
「寂しいなら仲間になろう」

 あくまで筆者の意見だが、コロナ禍での不安は、マルチ商法の勧誘に利用できる要素ばかりではないだろうか。健康やお金、仕事への不安、人と会えない孤独…。その疑問に対して、ズュータンさんはこう答える。
 
「そういった面もあると思います。特に健康不安を切り口にした勧誘は多く、『コロナに効く』とうたったマルチ商法の製品や宣伝は問題になりました。昔のマルチ商法といえば料理器具を売り込む話をよく耳にしましたが、最近は健康や美容のアイテムが増えています。コロナ禍の不安は、その流れにも合致しているのではないでしょうか」
 
 健康だけでなく、コロナ禍の孤独や将来の不安をフックに勧誘された人もいるようだ。
 
「ある大学生は家庭の事情から大学を休学し、アルバイトで生活資金を稼いでいました。毎月いくらかのお金を両親に渡していたといいます。しかしコロナ禍でアルバイトがなくなり、さらに同年代の学生友達は就活の真っ最中。孤独と不安が募っていきました。その気持ちを埋めようとSNSで女性と知り合ったのですが、最終的に彼女からマルチの勧誘を受けたようです」
 
 大学生の孤独に対し、女性はたびたび「寂しいなら仲間になろう」「私たちと一緒になれば将来は大丈夫だよ」と言ってきたという。誘いは断ったようだが、勧誘の切り口になったのは孤独や将来の不安だった。
 
「“仲間”や“経済的な安定”をほのめかして勧誘する手法は昔からありましたが、コロナ禍で強まっている印象があります。副業として勧める事例もより増えていますね」
 
 ここまで読んで「自分はそんなものにハマらない」と思った人もいるかもしれない。現にズュータンさんも、ハマる人は「全体の中でも少数派」だという。しかし少数だからこそ、自分はもちろん、家族や恋人、友達が「だまされるわけない」と疑わず、いつの間にか身近な人が引きこまれているケースが多い。
 
「つい先日も、配偶者がマルチ商法にハマってクレジットカードで高額決済を繰り返し、自己破産に追い込まれた方の話を聞きました。その後は何年も別居しているそうです。『自分は大丈夫』と思っていても、周りで知らぬ間にハマっていることはあります。しかも気付きにくい。それがマルチ商法の怖さです」