北京オリンピック後に中国が行動を激化させるのでは?

 以上のような明らかに国際法違反の海警法の制定・施行、そして台湾上空での不穏な動きなどを踏まえると、中国は国際法秩序を無視して実効支配する領域を拡大しようとしているとしか考えられません。

 それでは、なぜ中国は関係国の反発も顧みずこのように性急かつ強気に動いているのでしょうか。国内事情が大きく影響しているとしか思えません。

 というのは、まず今年は中国共産党建党100周年という記念すべき年であり(ちなみに、何の因果か100周年の記念日は7月23日で、東京オリンピックの開幕日と同じ日)、また第14次5カ年計画の開始の年になります。

 そして、来年は5年に一度の中国共産党大会が開催されます。つまり、習近平政権2期目の最終年に当たるのです。習近平主席は長期独裁を狙っていると言われることが多いですが、それが本当ならば、来年の共産党大会までに軍の完全な掌握、人民の求心力の確保などを通じて自らの独裁の正当性を示す必要があるはずです。

 こうした中国の国内事情から類推すると、中国が異常なまでに強気の行動を続けるのは、米中摩擦が高まる中で、“戦狼外交”という言葉に代表されるように中国国内で盛り上がるナショナリズムに対して、対米弱腰ではないという姿勢を示そうとしているのかもしれません。

 または、昨年、国際的な約束であった一国二制度を反故(ほご)にして香港を事実上手に入れたことの延長で、本気で尖閣諸島や南沙諸島・西沙諸島、さらには台湾を獲ろうとしているのかもしれません。

 そのどちらの推測が正しいのかは分かりませんが、いずれにしても、個人的には、来年2月に北京で冬季オリンピックが開催された後は要注意ではないかと思います。

 というのは、2014年にソチで冬季オリンピックが開催されたことは多くの人が記憶していると思いますが、その時は、オリンピック閉幕から約1週間後に主催国だったロシアがウクライナに侵攻したからです。

 もちろん、それと同じようなことが来年起きる可能性が高いと言う気は毛頭ありません。しかし、オリンピックは主催国にとっては国威発揚の絶好の場であることを考えると、北京オリンピックが終わった後は、中国がいつ東シナ海、南シナ海、さらには台湾で行動を激化させてもおかしくないというリスクは意識しておくべきではないでしょうか。