「上海を持ち上げる」
意外な理由

 今回のコロナ対策では、中国各地域の為政者やその都市の「運営管理のレベル差」が露呈してしまい、その能力や姿勢が問われている。

 つまり「上海を持ち上げる」ことは、「自分がいる地域の政府」に対して大きな不満があることの裏返しでもあるのだ。

 先述したプライバシー保護などに加え、その最も象徴的なものが、ペット対策だろう。

 SNSでは、ある動画がとても話題となり拡散され続けた。

 その動画には、上海の住民が隔離のためにホテルへ移動する際、自分が飼っている犬や猫を連れて行く光景が映し出されていた。

 これは北京をはじめ、上海以外の地域の人々にとってあまりに衝撃的な光景だった。

 その理由は明白で、ほかの地域ではそもそも「ペット同伴の隔離」は許されておらず、泣く泣く自宅に置いたままにしてしまい、愛犬や愛猫などを餓死させてしまうようなケースが相次いでいたからだ。

 ほぼ同じ時期、北京の市民が、「微博」(中国語版ツイッター)で、「これから21日間の隔離で、うちのワンちゃんと一緒は禁止されている。だれか預かってくれないか?ちゃんと費用と謝礼を払うから、助けてください!」とSOSを出した。また吉林省の隔離中の男性が涙を流しながら「うちの4匹のネコちゃんたち、頑張って生きて、俺が帰るまで待ってて!」との動画をSNSに投稿した。

「文明国家とはなんだ?それは動物に対しての態度だ!」
「ペットは家族の一員である、見殺しはあまりに残酷だ」
「北京、お願いだから、上海を見習って!いや、全国すべての地域、上海を鏡にしてほしい!」

 同時期のSNSでは、上記のような悲痛な声があふれていた。

 もっとも、「上海の先行事例」を手本に、北京などの各都市ではペットへの対応が変わりつつある。自宅に1人が残りペットの面倒をみるとか、飼い主と共に隔離先に同行させる措置などが可能となったのだ。

 このように、多くの中国人にとってコロナ対策を巡る「上海の事例」は政策でも人々の立ち居振る舞いでも手本や憧れとなっているのだ。