滑り止めの大学に入学。しかし……
そしてその春、仕方なく滑り止めの大学に入学した。でも、2ヵ月くらい通ってみたが馴染めなかった。
「こんなところに入るために這いつくばって二浪までしたのか?」
「そもそも、実力からして最初からココだったんだ。身のほども知らずにもがき続けて、いいざまだぜ」
僕をなじるもうひとりの僕の声が聞こえてきて、何も手につかなかった。このまま負け組として、敗北感を胸に生きていかなければならないのか? そう思ったとたん、急にふつふつと負けん気が湧いてきた。
そうだ、次こそ絶対にホンデに合格してみせる!
……そう、この病は簡単には治らないのだ。
そして、親に内緒で大学を退学した。学校へ行くと嘘をつき、再び受験勉強を始めたのだ。三浪だった。もはや、引き下がることはできない。ホンデ合格だけが唯一の希望であり、ほかの道はなかった。ああ、
ホンデ病で七浪した浪人生の都市伝説は嘘じゃなかったんだ。まさに自分みたいなやつがそうなるのだと実感した。
今思えば、たかが大学の看板ひとつに7年も費やすなんてバカげていると思うが、当時は当然その価値があると考えていたし、何かに取り憑かれていたのは間違いなかった。