協力について考える
 これは、金持ちが貧しい人に施しをすることではない。プロトタイプの設計、提案の実行や維持に、コミュニティを巻き込むことによって、活動は広げられる。政府、NGO、コミュニティ・メンバーが、あらゆるレベルで手を結ぶ方法を探してほしい。

 グラミン財団の携帯電話関連事業は途上国で、個人が管理するかたちで40億台の電話を活用している。民間の携帯電話会社と提携する力があったからこそ実現したと、グラミン財団技術センターのディレクター、デビッド・エーデルシュタインは認識している。

流通を考える
 これは、車輪を再発明するようなことではない。既存のサプライチェーンを利用して、所得ピラミッドの底辺に届くようにしなくてはならない。ローカル・コミュニティの労働者(将来の従業員)は、あなたの村の販売チャネルである。

リバース・イノベーションを考える
 これは、単なる途上国の経済の話ではない。インド、ハイチ、インドネシアで300ドルハウスを建設して学んだ教訓は、アメリカで3000ドルないしは3万ドルの家を建てるときにも活かせるかもしれない。ウォール・ストリート・ジャーナルに掲載された記事は、アメリカ全域に市場があることを示している。

 企業がこの分野に参入し、その活動により、密接に関係している2つの面での成功、すなわち、利益を上げながら、人々の状態を改善することを実現するよう、私たちは待ち望んでいる。

 そして、みなさんにもぜひ300house.comに参加していただきたい(ビジャイ・ゴビンダラジャン。環境問題に取り組むマーケティング・コンサルタントのクリスチャン・サルカールとの共同執筆による)。

訳:渡部典子


“The $300 House: Businesses Take Up the Challenge,” HBR Blog Network, July 18, 2011.
http://blogs.hbr.org/govindarajan/2011/07/the-300-house-businesses-take-1.html
(C) 2012 Harvard Business School Publishing Corporation.


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『リバース・イノベーション――新興国の名もない企業が世界市場を支配するとき
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◆主要目次
【第1部】 リバース・イノベーションへの旅
  第1章 未来は自国から遠く離れた所にある
  第2章 リバース・イノベーションの5つの道
  第3章 マインドセットを転換する
  第4章 マネジメント・モデルを変えよ
【第2部】 リバース・イノベーションの挑戦者たち
  第5章 中国で小さな敵に翻弄されたロジテック
  第6章 P&Gらしからぬ方法で新興国市場を攻略する
  第7章 EMCのリバース・イノベーター育成戦略
  第8章 ディアのプライドを捨てた雪辱戦
  第9章 ハーマンが挑んだ技術重視の企業文化の壁
  第10章 インドで生まれて世界に広がったGEヘルスケアの携帯型心電計
  第11章 新製品提案の固定観念を変えたペプシコ
  第12章 先進国に一石を投じるパートナーズ・イン・ヘルスの医療モデル
  終章 必要なのは行動すること
  付録 リバース・イノベーションの実践ツール
       ネクスト・プラクティスを求めて