――筆者のジェラルド・F・サイブはWSJエグゼクティブ・ワシントン・エディター
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ジョー・バイデン米大統領の政策運営では新型コロナウイルスへの対応やイランとの鞘当てに目を奪われがちだが、その陰でバイデン氏は、最も重大な問題で早期の決断を迫られている。それは、アフガニスタンからの米軍の完全撤退に踏み切るか否かという決断だ。
この問題の解決に苦慮してきた米大統領の人数を数えてみると、バイデン氏は4人目になる。その全員がアフガンからの撤退を試み、約束さえしたが、誰もそれに成功しなかった。それゆえアフガン紛争は、米国の歴史上最も長い紛争であるだけでなく、恐らく最も厄介な紛争にもなってしまった。
バイデン氏が大統領選挙戦中に掲げた「永遠の戦争」を終わらせるという公約は、アフガンの厳しい現実に直面している。アフガンに関してはドナルド・トランプ前大統領の政権が、ちょうど1年前のこの週に、今年5月までの米軍完全撤退を約束した。だが、それ以降アフガン国内の武力対立は、ある面では沈静化するどころか激化している。
バイデン新政権は、このジレンマと格闘しており、バイデン氏自身の悩みも深いようだ。米国のアフガニスタン和平担当特別代表を務めるザルメイ・ハリルザド氏は、この問題を巡る協議のため1日にカブール入りした。