「お金持ちになるにはどうしたらいいのか」という疑問にこの連載ではいろんな角度から答えを示していきます。お金持ちなら誰でも知っている秘密を明かしていきます。
その疑問の答えにたどり着くには「お金」「経済」「投資」「複利」、そして「価値」について知っておく必要があります。少し難しい話も出てきますが、今は完全にわからなくても大丈夫です。
資本主義の仕組みについても、詳しく解説していきます。なぜなら、資本主義の世界では、資本主義をよく知っている人が勝つに決まっているからです。
今後の答えのない時代において、どのように考えながら生きていけばいいのか、ということもお話ししていきたいと思います。さあ、始めましょう!
(もっと詳しく知りたい人は、3月9日発売の『先生、お金持ちになるにはどうしたらいいですか?』(ダイヤモンド社)を読んでください)

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歴史的な変動は経済といつも
大きく関わっている

皆さんは経済の仕組みなんて、まぁ大人になって稼ぐために少しばかり勉強しておけばいいかな、くらいに思っているかもしれませんが、本当はもっと大事です。なぜなら戦争などの政治的な出来事や歴史的な変動はいつも経済と大きく関わっているからです。

1850年以降の英仏独のGDPを並べてみると、面白い符合があります。

1870年の普仏戦争は、フランスが台頭するプロイセン(独)に抜かれたところで勃発しています。1914年の第一次世界大戦は世界を支配していたイギリスが、急速に工業化するドイツに抜かれたところで勃発しています。

「新しく台頭する国家(勃興国)は自国の権利を強く意識し、より大きな影響力と敬意を求めるようになる。その圧力に直面した大国(覇権国)は状況を恐れ、不安になり、勃興国を叩こうとする」

これがグレアム・アリソン、ハーバード大学教授(政治学)が提示する仮説「トゥキュディデスの罠」です。歴史家の父とされる古代ギリシャのトゥキュディデスはその著作『戦史』の中で、覇権国スパルタに対する勃興国アテナイの挑戦を描きましたが、ここからアリソン教授は法則性を導きだしたわけです。

2028年までには中国のGDPが米国を抜くと言われています。このように見ると2019年から米中の対立が激化していることにも相応の理由があり、けっしてトランプという異形の大統領の気まぐれではなかったことがわかると思います。これから日本は、この2大国の狭間でどのように政治的・経済的に振る舞うのかを決断する必要に迫られるでしょう。

大事なことは、GDPという経済指標そのものを知ることではありません。そこから自分なりの仮説を導くことです。ここで私は、GDPという経済指標を歴史的かつ分析的に考えるだけで、実にたくさんのことがわかるということを伝えたかったのです。

分析の土台には、数学、歴史は言うまでもなく、生物の知識(光合成)、物理の知識(蒸気機関、原子力)などの知識の融合があります。またこれら最新の情報を入手するのには、英語が読めなければならないのです。そして、お金持ちになるには、豊かに生活するには、こういう分析的な仮説構築ができることが必要になってきます。別に受験のために勉強しているのではないのですよ。

参考記事
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奥野一成(おくの・かずしげ)
農林中金バリューインベストメンツ株式会社 常務取締役兼最高投資責任者(CIO)
京都大学法学部卒、ロンドンビジネススクール・ファイナンス学修士(Master in Finance)修了。1992年日本長期信用銀行入行。長銀証券、UBS証券を経て2003年に農林中央金庫入庫。2007年より「長期厳選投資ファンド」の運用を始める。2014年から現職。日本における長期厳選投資のパイオニアであり、バフェット流の投資を行う数少ないファンドマネージャー。機関投資家向け投資において実績を積んだその運用哲学と手法をもとに個人向けにも「おおぶね」ファンドシリーズを展開している。著書に『教養としての投資』『先生、お金持ちになるにはどうしたらいいですか?』(ダイヤモンド社)など。